恋は雨上がりのように最新第80話の感想(ネタバレ含む)と考察。近藤が引き出したあきらの意思。

恋は雨上がりのように第79話 あきらと近藤
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第80話

第79話のおさらい

あきらからもらったマフラーを両手に持ち、じっと見つめる近藤。

 

あきらに向けて、実は勇斗へのかけっこを指南してくれたお礼にプレゼントを用意していた近藤は、それを切り出そうとするが、プレゼントを車に積んだままだったことを思い出し、何でもない、と打ち消す。

恋は雨上がりのように第79話 あきらと近藤

あきらにさり気なく帰宅を促す近藤。

 

駅まで送るついでに駅近の神社に初詣に行く事に。

 

神社で参拝を済ませる二人。

 

その後、甘酒を楽しむ近藤。

 

あきらはおみくじで大吉を引く。

 

おみくじの文面をじっと読むあきらの横顔を見て、ふと、出がけに車に寄ってあきらへのプレゼントを持ってくれば良かったと思う近藤は、まぁ荷物になるし、と自分に言い訳をする。

 

近藤は、あきらを送る為に駅へと歩き始める。

 

二人の時間が終わる事に寂しさを覚えるあきらだったが、横を通り過ぎたカップルが雪で電車が動いていないと会話しているのを聞きつけスマホで運行状況を調べる。

 

あきらは近藤に、見事に運転見合わせとなっている時刻表をスマホ画面を見せ、近藤の家に戻りましょう、と元気になる。

 

ご機嫌な様子で歩き出したあきらを見つめる近藤。

 

その時、一陣の強風が吹きつける。

 

人混みに消えていくあきらに、近藤は思わず手を伸ばす。

 

左腕を掴まれたあきらは振り向き、近藤を見上げる。

 

見つめ合う二人。

 

あきらはそこで、近藤に左腕を掴まれている事に気付く。

 

慌てて手を離た近藤は、はぐれそうだったから、と言い訳と謝罪をし、先を歩き始める。

 

近藤に掴まれた左腕に愛おしそうに触れるあきら。

恋は雨上がりのように第79話 あきら

近藤のアパートへ戻るために二人は住宅街を歩く。

 

小走りに、雪の感触を楽しむように先を歩くあきらの背中を見つめる近藤は、ふと自身の気持ちに気付く。

 

言い訳を探しては、あきらにプレゼントを渡すことを引き延ばしている自分。

 

このまま部屋に戻ったら帰せなくなる。

 

立ち止まった近藤にあきらが気付き、二人は路上で向かい合う。

 

どうしたんですか? と笑顔で尋ねるあきらに、近藤は静かに問いかける。

 

「橘さんはもう、走らないの?」

 

瞠目するあきら。

 

雪の降り注ぐ路上。傘を差した二人は見つめ合う。

 

前回79話の詳細は以下をクリックしてくださいね。

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第80話

近藤と別れたくないあきら

雪の降る元日。

傘を差し人気のない道路で近藤とあきらは向かい合う。

「橘さんは、もう走らないの?」

 

近藤から問われ、一瞬驚いた様に近藤を見つめるあきら。

 

暫し見つ合った後、あきらはくる、と踵を返して近藤のアパートへ歩いていく。

 

近藤は、そんなあきらの後姿を呆然と見送る。

 

近藤の車の前まで歩いてきた二人。

 

近藤はあきらに、電車がいつ動くか分からないので家まで送っていく、と運転席のドアを開ける。

 

乗って、とあきらに声をかけるが、あきらは近藤の言葉を無視して車から離れていく。

 

傘を差してブーツで雪を弄んでいるあきらを、近藤は運転席のハンドルに両腕を載せながらじっと見つめている。

(全然こっち来ない…)

 

あきらは一向に近藤の車に乗ろうとしない。

 

そんなあきらの様子をじっと見つめる近藤。

 

後部座席には包装されたプレゼントらしきものがある。

 

黙々と雪を蹴っているあきらはコートのポケットに突っ込んでいる左手からおみくじを取り出す。

 

”大吉”と大きく書かれたおみくじを開いていく。

花も咲けば散り月も満ち欠ける

人生は巻き戻せず今この瞬間も時を刻み続ける

おみくじに書かれている文章をじっと読むあきら。


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雪は雨に変わる

そんなあきらの元に、車から降りてきた近藤が、橘さん、と声をかける。
「はやくしないと日が暮れちゃうよ。車に乗って!」

 

近藤を見つめるあきらの目が険しくなっていく。

「嫌です。」

 

ハッキリと断られた事に呆然とする近藤。

 

「嫌です!」
寒いしとりあえず車に、という近藤の言葉に対し、あきらは食い気味に拒絶の意思を叩きつける。

 

「嫌です。」

 

何度も何度も、あきらは近藤に拒絶の意思を繰り返す。

 

「あたし帰りたくありません!」
ついには、勢いに任せて近藤に自分の真の要求を突きつける。

 

あきらは、俯き加減だった視線をゆっくりと近藤に移していく。

 

興奮していた様子だったあきらの、はあはあ、と弾む息が自然と整う。

 

近藤は一切狼狽えた様子は見せず、毅然とした表情であきらを見据える。
「あの部屋に戻っても、これ以上俺が橘さんにできることは何もないよ。」

 

目を見開くあきら。
「…うして…」
傘の持ち手を握る手にぎゅっと力を入れる。
「どうしてそんなこと言うんですか…?」

 

そんなあきらを静かに見つめる近藤。
「あの部屋で待ってるのは、書きかけの原稿と、使い古した万年筆。」
それ以外は何もない、と一瞬俯き、すぐにあきらに向き直る。
「君にもあるんじゃないのか? 待たせたままの…」

「季節の続きが。」

 

雪の降りしきる中、一滴の雨が落ちていく。

 

その雫はあきらの差している傘に当たる。

 

あきらの右目から涙が一筋流れる。
「走りたい…!」

 

雪は雨に変わっていく。

 

降り注ぐ雨は二人の傘を打ち鳴らす。

 

 


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感想

やはり覚悟していたあきら

あきらは元旦の非日常の力を借り、覚悟を決めて近藤のアパートを訪ねていた。

 

近藤が風呂に入っていて、あきらの鳴らしたチャイムに気づかず玄関に出なかった時、あきらはプレゼントのマフラーをドアの前に置いて帰ろうとしたけど、あれは次の機会を待とうと思っていたのかな。

 

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そういえば、訪ねる直前とは言えメールで連絡していたっけ。

 

という事は、別に”もし迎えてくれなかったら諦めよう”とまでは思いつめていなかったのだと思う。
そういう願掛けに身を任せる時ってあるでしょう(笑)。

 

あきらの場合はあくまで、もし流れが上手く来たらあわよくば、くらいの覚悟か。

 

そして、最初は留守だと思って帰ったけど、近藤に引き留められたあきらはこれをチャンスだと考えるようになったのかな。

 

近藤に帰りを促されて浮かない表情をしていたし、電車が動かない状況にテンション上げてた事からも、あきらが帰りたくない様子なのは明白だった。

 

電車が動かず、近藤のアパートまで歩くあきらが元気だったのは、明らかに自分の望む方向の流れが来ていると自覚したからだろう。

 

元々、第1巻の告白以来、ここまでずっとあきらは一貫して近藤に好意を持ち続け、示し続けてきた。

 

そしてようやく来た、関係を進展させる好機。

 

ここまで、その純粋さ、健気さに、今後この二人がどうなっていくか目が離せなくなっていたが、ついにその関係性も終点を迎えるようだ。

 

言い寄られたのに毅然とした態度を見せた近藤は恰好良かった。
カリオストロの城だよ。ホントに(笑)。

 

近藤さん、あなたは偉い。大人の男の鑑だ。

 

まだ第81話、最終回である第82話があるから分からないけど、芸剤までの流れからいけば、二人の恋愛関係はこれで終了し、お互いにとって美しい思い出へと変わっていくのだろう。

 

物語が終わるのは寂しいけど、ぜひ”読んでいて良かった”と思わせてくれるエンディングを迎えて欲しいところ。

 

陸上への想い

あきらが陸上への本当の想いを口にするのと同時に雪が雨に変わるというのが実に詩的な表現で良かった。

 

凍てつかせていた陸上への想いが開放され、動き始めた瞬間とでも言うのか。

 

元々、倉田みずきから発破をかけられてそれに反応していたし、はるかから復帰を促されたり、リハビリにも興味を示していた。

 

つまり、復帰に向けて着々と心の準備は整っていた。

 

そこに、小説を取り戻したという近藤から、あきらにもそれに相当するものがあるのではないかと問われたのをきっかけについにあきらは自分の本心を吐露するに至る、と。

 

ここまで長かった……。
あきらがすげー頑固なんだもん(笑)。

 

高校陸上の最後の大会は6、7月くらい?

 

それまでに間に合うギリギリのタイミングじゃないかな。

 

走る楽しさを取り戻したあきらの弾ける笑顔が見たい。

 


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最終回まであと2回!?

正直、これが一番驚いた。

 

扉絵の下に「最終回まで、あと2回」っていきなり書いてあって本当にビビッた。

 

あきらが近藤の部屋を訪ねるあたりの話から、物語も終盤かな、と書いたけど、まさか本当に終わるとは……。

 

思ったよりずっと早かった。

 

一体どうやって終わるんだろうか……。

 

加瀬と珠子はどうなる?

どういう気持ちの流れかは正確には分からないが、珠子がやんわりと加瀬を拒否して加瀬が悪態をついたところで加瀬と珠子の関係の描写は終わってる。

 

おそらく珠子自身が、振られては弟の元に行くという行動パターンがダメだと認識したからかな?

 

加瀬の恋心に気付いたから、というわけではないと思うけど、そうではないとは言い切れない。

 

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それ以降は、やはり同じ第73話で大晦日に加瀬がユイにデリカシーの無い言葉を浴びせてあきらにブン殴られただけ。

 

個人的には加瀬と珠子がどうなるかに関しても気になっていたので、何かしらの決着を見ないことにはスッキリしないんだが……。

 

てっきり今後、あきらと近藤の関係と並行して進んでいくものだとばかり思っていたからショックがデカイ。

 

加瀬と珠子の関係が中途半端に終わるのは勘弁してもらいたいなぁ。
まぁ、義理とは言え姉弟の関係からは逃れられないしどうしようもないのかもしれないけど……。

 


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ハッピーエンドしかない

とりあえず、第80話の流れだと、あきらと近藤はくっつかずに終わるのかな。

 

それとも、陸上に専念して燃焼し尽くした後、大学か就職かは分からないけど進路を選択したあきらがまた近藤にアプローチを仕掛ける、みたいな終わり方もあるのかな……。

 

この作品の持つポジティブでコミカルな部分を前面に押し出した、ある意味”俺たちの冒険はこれからだ”的なハッピーエンドとなるのか。

 

それとも、近藤が予感していた通り、もう近藤とあきらが会う事は無くなるのか。

 

多分、ここまでのフラグが正常に機能するとしたら後者の終わり方になるのかな。

 

それもまたハッピーエンドだと思う。

 

近藤は、あきらに会って再び小説を書くようになり、あきらは近藤、そして勇斗に会って、はるかの助けもあって陸上への想いを取り戻した。

 

互いに好影響を与えあうという素晴らしい人間関係のまま、物語が美しい終焉を迎えるというのが爽やかで、自分好みで嬉しいんだけど……。

 

前述した加瀬に関して、何かしら決着を見せてくれることを期待したい。

 

繰り返しになるが、この物語はハッピーエンドで終わるはず。

 

それは、そうなって欲しいという願望であると同時に、それしか似合わないでしょ、というのが一番の理由かな(笑)。

 

寂しくなるけど、ラスト2話を待ちたい。

第81話の詳細は以下をクリックしてくださいね。

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6 件のコメント

  • 急にあと二回で終わることが発表されて、通勤電車の中で、動揺しています。
    ホントに『カリオストロの城』ですね。
    プレゼントはやはり傘なのでしょう。この物語のテーマに相応しいですね。
    車であきらの自宅に送った時の今生の別れの時に、『カリ城』みたいなキスシーンを期待したいです。

    • コメントありがとうございます。

      やはり動揺されましたか(笑)。
      この作品を追っている読者は、今、皆多かれ少なかれ動揺していることと思います。

      プレゼントの形状からも、やはり傘でしょうね。
      前回の記事を書いた時点で自分は”プレゼント? 何だっけ?”と思っていました。
      そこに、傘ではないかとコメントで教えて下さった方がいましたがその通りでした。

      あきらにとっての傘が近藤さんだったと。近藤さんは実に粋な贈り物をしますね。
      プレゼントするのは多分次の話かな。期待です。

      近藤さんにルパンのような振る舞いは……期待出来ないでしょうね(笑)。
      というか、普通あれは中々出来ないです。近藤さんじゃなくても。

      彼は間違いなくあきらの事が好きなわけですが、そのままの気持ちを伝えたら辛くなるのは目に見えているので何も言わないでしょう。

      今後あきらと近藤さんがもしくっつくとしたら、陸上復帰したあきらの心の内で、近藤さんへの気持ちがどう変化していくか次第、ですね。

      あきらの近藤さんを想う気持ちが一切変わることなくアプローチを続けるというエンディングでも良いのですが、恋愛感情とはまた別の感情にあきら気持ちが昇華されるというのもリアルだなと思ってます。

      後者のような終わり方は、きっととても美しいと感じるだろうなぁ。

      残り2話。一緒に注目していきましょう。

  • あと2回…ちょっとどころかかなりビックリしました。近藤さんがあきらとの出逢いで取り戻せた忘れていた気持ちや小説。だからこそ、もう走らないの?と切り出したとき苦しかっただろうな~
    あーまた泣いてしまいそうです 笑

    ほんとこんな男性なかなかいませんよ。
    あきらが 走りたい!と、やっと素直に言えたのも近藤さんだからですよ。
    どうしよう ほんとにあと2回で終わってしまう

    加瀬君の苦しい思いの行く末までは描かれないですよね、きっと。
    あーー!2週間後まで待てない!!

    • コメントありがとうございます!

      あと2回とかビビリますよね。
      最近、ある程度続いた連載作品が終わるのが多いように感じているのですが、残り話数を大体もう少し多く、つまり少し早めにアナウンスするんです。
      一番短くて残り4回くらいからだったような……。

      だから残り2回というのはまさに寝耳に水でしたね。教えてくれるのが遅過ぎるんじゃないかと。

      あきらが走りたいと素直に言えたのは近藤だから、という見方に同意です。

      幼なじみで、一緒に陸上をやってきたはるかにさえ言えなかった想いを吐露出来るほどの安心感があったんでしょうね。

      近藤もあきらの陸上復帰を遠回しに促したりしてたんですが、その際はあきらにキレられてしまいました。

      でも、無理矢理陸上を遠ざけようとするあきらはもういません。

      それは、ずっとあきらを気にし続けてきたはるかのおかげでもあるけど、やはり近藤によるところが大きいのは明白です。

      あきらと出会いで小説を取り戻した近藤。
      近藤との出会いで陸上を取り戻したあきら。
      素晴らしい出会いです。

      加瀬の顛末はフォローがあって欲しいですね。外伝みたいな形で良いから……。

      2週間後が来て欲しいような、来て欲しくないような。

      タイトルに何かをプラスして新連載になったら笑うんですが、そういう漫画じゃないんだよなぁ……。

  • お互いファミレスが雨宿りの場所なので、腫れたら、それぞれの道に戻っていくということなでしょうね。そういう意味ではこの恋は成就しないと思います。そもそも45歳のおっさんと高校生の恋愛の成就というのはどういうことをいうのですかね。ちょっと難しいね。

    • コメントありがとうございます!

      ファミレスが雨宿りの場所。なるほど、と思いました。
      恋は雨上がりのようにというタイトルの意味もつまりそういうことなんでしょうね。

      45歳と高校生の恋愛……。
      自分には中々想像し辛いなぁ。

      結局は当人たちが納得していれば、成人後は問題も無くなるわけですから何とも言えないですよね。

      kiyomarさんの仰る通り、記事に書いている通り、自分もこの二人はくっつかないと思います。
      お互いに前に進めたんだから素晴らしい出会いです。
      こうやって雨宿りのように始まり、終わる恋も良い。

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