第72話
第71話のおさらい
あきらがアキレス腱を怪我する一年前。
音楽プレーヤーを聴きながらベランダで一人で景色を見ている。
![恋は雨上がりのように第71話 あきら](https://xn--p8jl8gkd6mma8251dul8ave4h.biz/wp-content/uploads/2017/08/71_01.png)
はるかがやってきてあきらは一緒に部活に行く。
部室に向かう途中でサッカー部の山本とすれ違う。
はるかを目で追う山本。
部室でユニフォームに着替え学校の外周を走る女子陸上部を、バス停でバスを待つ吉澤が見ている。
走っている最中、はるかが隣のあきらにアイスの名前を言う。
同じく、アイスの名前を返すあきら。
![恋は雨上がりのように第71話 あきらとはるか](https://xn--p8jl8gkd6mma8251dul8ave4h.biz/wp-content/uploads/2017/08/71_06.png)
アイスの名前を言い合って先輩から注意を受ける。
短距離のあきらは先に学校に戻るが、途中で進路を変え、階段を上って街を見下ろす。
練習を終え、あきらとはるかは店先のベンチでかき氷を食べていた。
![恋は雨上がりのように第71話 あきらとはるか](https://xn--p8jl8gkd6mma8251dul8ave4h.biz/wp-content/uploads/2017/08/71_09.png)
眠くなったと言うあきらに家に寄っていくかとはるかが問いかける。
そこに、あきらとはるかのアイスのやりとりを聞いてかき氷が食べたくなった先輩が登場。
かき氷を注文する。
寝ているあきらを先輩たちとはるかは暖かい様子で見守るのだった。
前回71話の詳細は以下をクリックしてくださいね。
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第72話
12月。
あきらは白い息を吐き出す。
事務所の外にあるゴミ置き場の扉を閉めてくしゃみをする。
ユイは、満面の笑顔でてきぱきと仕事をこなす。
久保は最近良い働きっぷりだ、と惚れ惚れしながらユイを見つめている。
吉澤君も見習わなきゃ、とキッチンで皿を拭いている吉澤を焚きつけようとする久保。
吉澤は、…ス、とだけ短く言って、久保たちに背を向ける。
これらの店長が休みでも大丈夫、と満面の笑みの久保。
お礼
デパート。
近藤と勇斗がフードコートでご飯を食べている。
勇斗から、かけっこで一位になったという報告を受けて近藤が驚く。
「うんっ。」
目の前の料理から視線を外すことなく、しかし笑顔を浮かべたまま答える勇斗。
近藤は、すっ、げーじゃん、と料理を食べる手を止めて勇斗を見つめる。
いつも速い奴の調子が悪かったのもある、と余裕の勇斗の様子を見て、近藤は、謙遜してやがる、とさらに驚いてみせる。
「しかし…明らかに橘さんのおかげだなァ。」
フフン、と得意そうに料理を頬張る勇斗を見ながら近藤が呟く。
そして、近藤は中空を見て何かを考える。
会計を済ませて近藤と勇斗がエスカレーターを降りていく。
その途中、近藤が何かを発見する。
階下に見えたのは傘売り場。
僅かに考えて、勇斗にこの階に寄っていいかと問いかける近藤。
勇斗は、いーよとすぐさま許可する。
そして、近藤は傘売り場の店員さんに話しかける。
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ユイ、晴天の霹靂
ただいまー、と帰宅したユイをまるで玄関で待ち構えていたように姉のマイがおかえり、と返す。
マイは、バイトを休まず行ってエライ、とユイを褒める。
笑って、西田ユイはタフなのだ、と靴を脱ぐユイ。
マイはそんなユイに躊躇しながら、話しを切り出す。
ユイは、なんだろう、とばかりにマイの方を向く。
ガーデン。
「エ!? 西田さん(ちゃん)バイト辞めるの!?」
ガーデン従業員が声を合わせる。
ユイはしょんぼりとした様子で、バイト禁止なのにガーデンで働いていることがバレ、生活指導の先生から電話があったのだと説明する。
まぁそんな訳で、と話を継いだ近藤が、今月いっぱいでガーデンを辞めることになった、と続ける。
近藤の隣でユイがしゅんとなっている。
来年受験生だしね、と付け加える近藤。
あきらはユイをじっと見つめている。
ユイは、なんかごめんね、とあきらと目を合わせる。
「あきらちゃん、前に『バイト辞めないで』とか言っときながら…」
以前自分がドーナツ屋であきらに対して言った事を自分が守れずに謝るユイ。
あきらは笑顔で、ユイが謝ることじゃない、と返し、内申に響いたら大変だし、と付け加える。
あきたとユイが会話しているのを皿を持った吉澤がじっと見つめる。
近藤が吉澤に、最近髪が伸びてきたんじゃない? と話しかける。
いつもの前髪パッツン状態が解消され、髪が目にかかっているのを指摘する。
吉澤は、…ス、とだけ言って笑顔の近藤に対して誤魔化すように背を向ける。
吉澤の様子を不思議そうに見つめる近藤。
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状況は変化せずにはいられない
あきらはテーブルを片付けている。
脳裏で思い出すのは諸星とのリハビリに関するやり取りだった。
(決して急かすわけじゃないんだけど…リハビリをするなら1日でも早いほうがいい。)
真剣な様子で諸星が忠告する。
今からはじめれば来年の春頃にはきっと走れるようになる、と続ける。
あきらは諸星から受けとったリハビリに関する冊子を見つめている。
「もう一度、よく考えてみて。」と諸星。
テーブルを拭く手が止まり、じっとテーブルに視線を落とすあきら。
振り返り、フロア全体を眺める。
賑わっているフロアでは、客の笑顔と楽しそうな会話が穏やかに満ちている。
(今からはじめれば来年の春頃にはきっと走れるようになる。)
あきらの脳裏に諸星の言葉がリフレインする。
あきらは、くい、とエプロンの端を引っ張る小さな手に気づく。
そこにはスマホを差し出す小さな女の子がいた。
「これ、忘れものなの。」
あきらはスマホを片手に外に出る。
周りを見回すと、少し離れた所を歩く男女を視界に捉える。
![恋は雨上がりのように第72話 スマホ忘れた客](https://xn--p8jl8gkd6mma8251dul8ave4h.biz/wp-content/uploads/2017/09/72_08.png)
あきらは口元に手を添えて、お客様ー、と呼びかけるが男女の後姿はどんどん小さくなっていく。
あきらはその背中を見つめながら、は、と軽く息をついてその場に立ち尽くす。
立っているあきらの横をバスが通りかかる。
そのバス内でスマホを見ていた倉田みずきは、ふと外を見て、あきらの姿に気づく。
スマホを片手に立ち、真っ直ぐ前を見つめるあきらのその視線の先には、もはや豆くらいの大きさにまで小さくなってしまった人の姿がある。
それ見て事態を察したみずきは、混雑する車内で人を掻き分けてバスの後ろに歩いていく。
窓ガラスに、ばん、と手を打ち、叫ぶ。
![恋は雨上がりのように第72話 充希みずき](https://xn--p8jl8gkd6mma8251dul8ave4h.biz/wp-content/uploads/2017/09/72_10.png)
「走れ!!」
みずきの声が聞こえたのか、あきらははっとした様子で、走り去っていくバスを視線で追う。
あきらの足元にぽつりと一粒、雨が落ちる。
(もう一度よく考えてみて…)
雨が降り始める。あきらの脳裏には再び諸星の言葉がリフレインしていた。
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感想
ユイがガーデン辞めちゃうのか。全くの予想外。
てっきり、あきらが復帰して夏の大会が終わるくらいまでは働くのだと思っていた。
ユイの学校、バイト禁止だったんだ……。
それでも堂々とバイトしてたユイは大したもんだな(笑)。
想像するに、多分、バレないように学校の学区外から通っているんだろうけど見つかってしまった、という感じかな?
恐らくユイの胸の内はもっと働きたかったという残念さと、あとは仕事を辞めることの解放感への期待もあるのかもしれない。
あきらにとってユイの存在は本当に心強く、大きなものだったと思う。
仲の良い友達だし、恋愛で吉澤にぶつかっていったことで傷ついて、でもそれを克服して、吉澤と一緒の職場を辞めるどころかより一生懸命働くようになった。
あきらにとって、ユイは目に見える形で人間的成長を遂げた、尊敬できる友達だと思う。
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あきらにとって、近藤に次いでガーデンにおける重要人物だっただろう。
きっとあきらは、自分が辞めない限りはずっとユイと一緒に働けると思っていたのではないか。
しかし、ユイが居て楽しかった職場は12月末、今年中にはあきらにとってその在り方を大きく変えてしまう。
あきらは見慣れていたフロアを見渡して、状況は常に変わる、そして変わらざるを得ないということを強く意識したのだと思う。
あきらがガーデンで働き始めの頃、陸上なんて忘れたい、それどころかスパイクなど大切な道具一式を捨ててしまいたいとまで思っていた陸上への想いも、この一年で大分変わって来た。
陸上への復帰のための最低限の心の準備はもう8割方程度には出来ているように思う。
新年明けて、新たな気持ちでリハビリを開始し始めるするのか。
ぜひ、あきらが大会で見事に優勝する姿を見たいところ。
個人的には5巻以降、作品としては本筋の進みが遅々としているのが心配だった。
あと、近藤が、勇斗を指導して勇斗がくれた
以上、恋は雨上がりのように第72話の感想(ネタバレ含む)と考察でした。
73話の詳細は以下をクリックしてくださいね。
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