恋は雨上がりのように最新第82話(最終回)の感想(ネタバレ含む)と考察。6月。陸上競技会の200Mに出場するあきら。みずきとの対決の結果は……。

恋は雨上がりのように第77話 あきら
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第82話

第81話のおさらい

強い雨の降る中、助手席にあきらを乗せて近藤が車を走らせる。

 

赤信号に引っかかり、停止させた車内にワイパー音と雨の音が響く。

 

黙っていた近藤が、ふと羅生門の始まりの一節を諳んじたかと思うと、あきらに去年の夏に取り組んでいた『羅生門』の最後の質問に何と記述したのかと問いかける。

 

あきらは、下人の勇気が、今後の彼の人生にプラスに働けばいいなぁと思います、と書いたと答える。

 

近藤は、いい答えだね、と返し、俺には文学を捨てる勇気がなかった、と自嘲気味に呟く。

 

あきらはそんな近藤を、捨てなかった勇気じゃないんですか? とフォローする。

 

それを受けて、橘さんのそういうところ、僕は好きだよ、とさらっと答える近藤。

 

あきらはびっくりして、今日の近藤は何かが変だと指摘する。

 

再び沈黙。渋滞で停車している車の中に、雨の音だけが響く。

「…今日のこと、俺きっと一生忘れないんだろうな。」

 

あきらは、近藤に必死に寄り添うように言葉を紡ぐ。
「あたしも…あたしも忘れません!」

 

近藤はあきらに、橘さんは忘れるよと揶揄うように。

 

「忘れません!」
ムキになってあきらが近藤に食って掛かるように繰り返す。
「絶対絶対忘れませんッ!!」

 

忘れる忘れる、とさらっと揶揄うように返す近藤に、あきらは忘れないと必死に返す。

 

いやいや、とあきらの言葉を否定する近藤に、店長こそデジャブのこと忘れてたじゃないですかとあきらは口にする。

 

近藤が、橘さんは忘れたっていいんだ、と優しく語り掛けて来るのを、あきらは驚きをもって受け止める。

 

今日の店長、やっぱり変です、と言われても、近藤はニコニコ笑うのみ。

 

車は、あきらのマンションに辿り着く。

 

傘を差して歩道に出たあきらに、近藤は、渡したいものがある、と後部座席からプレゼント――折りたたみ傘を、勇斗のかけっこ指南の礼としてあきらに渡す。

 

近藤が自分の為を想って選んでくれたプレゼントを受け取り、あきらは顔を輝かせて礼を言って、またガーデンで、と近藤に呼びかける。

 

近藤は微笑を浮かべて運転席からあきらを見つめながら口を開く。

 

車がゆっくりと動き出し、あきらはそれを見送る。

 

自宅の玄関のカギを開け、家に入って来るあきらに気付いた母が玄関に顔を出す。

 

心配していたの母の声に、あきらが笑顔で振り向く。

 

「雨やどりしてただけだよ。もう大丈夫。」

前回81話の詳細は以下をクリックしてくださいね。

恋は雨上がりのように最新第81話の感想(ネタバレ含む)と考察。「今日の事は忘れ...
第81話第80話のおさらい雪の降る元日、傘を差し人気のない道路で近藤とあきらは向かい合う。 もう走らないの? と近藤から問われ、あきらは一瞬驚く。 あき...

 


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第82話

陸上競技会

6月。

三ツ澤公園陸上競技場。

 

「あ、」
水筒を胸の前で持ったはるかがあきらに、若干ためらいがちに声をかける。
「あきら…!」

 

ユニフォームを着たあきらがはるかに振り向く。

 

「ありがと。」
飲む? とはるかから渡された水筒を笑顔で受け取るあきら。

 

はるかは水分補給しているあきらをじっと見つめた後、不安そうな表情をする。

 

後輩の石井がその様子を客席から望遠鏡で確認しながら、はるかが実際に走るあきらよりも不安げな顔をしている、と口にする。

 

その隣で、喜屋武先輩心配症ですもんね、と笑う後輩。
後輩は、橘先輩が1年以上のブランクを乗り越えて復活し、県大会にまで出てしまうのはすごい、と続ける。

 

(だけど、まだ自己新は出していない…)
石井はあきらたちに心配そうな視線を向けながらも望遠鏡を下ろす。

 

「あたし喜屋武先輩のサポートに行ってくる!」
応援席は任せた! と席を立つ石井。

 

目を閉じ集中しているあきらを心配そうに見つめるはるか。
あきらのアキレス腱の手術痕に視線を移し、ブンブンと頭を振る。

 

「喜屋武先輩しっかり!」
意識がはるかの背後から両肩を掴んで声をかける。

 

声を上げて驚くはるか。

 


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200M走

まもなく女子200Mが始まります、というアナウンスが流れる。

 

「はるか。」
不安げな表情のはるかに笑顔で手を振るあきら。
「行ってくるね。」

 

はるかは一瞬あきらを呆気にとられたように見つめた後、またどこか不安げな表情に戻って、うん、と頷く。

 

あきらはスタート地点に歩き出しながら石井に、はるかのことよろしく、と声をかける。

 

そしてあきらが振り向くと、その行く手にはユニフォームを着た倉田みずきがあきらを真正面に見据えて立っている。

 

「この日が来るのをずっと待っていました。」

 

みずきの真剣な言葉に、あきらは無言で答える。

 

選手位置についてください、と審判から声がかかる。

 

その緊張感にやられて、もうダメ、とふらつくはるかを石井が支える。

 

出走するレーンが隣同士のあきらとみずき。

 

二人はクラウチングスタートの構えをとる。

 

スターターピストルが鳴るまでの僅かな時間。

 

地面を見つめていたあきらは、すっと目を閉じる。

 

 


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自身との対話

(本当に走れるの?)

 

あきらは、スタートしようとしている自分のすぐ目の前に誰かが立っているのに気付く。

 

顔を上げると、そこにはかつての自分がいる。
(本当はまだ怖いくせに。)
スタート前のあきらを見下すような視線で見下ろしながら、かつての自分が囁く。(これからもずっと怖いよ。)

 

あきらはスタートの構えのまま過去の自分を見つめる。

 

(あなたに過去の記録は追い越せない。)

 

「…こわい。」
目線を落とすあきら。
「けど…このまま走らなくなってしまうことのほうがもっと怖いから…」

 

「あの人だって、同じはず。」

 

スタート前の緊張感が競技場に張り詰めている。

 

客席からあきらを見つめるともえ、母、そしてはるかの母。

 

水筒を胸に抱え、不安げにあきらたちのレースを見つめるはるか。
その背後には石井。

 

スターターピストルが鳴るその時を待ち、集中するみずき。

 

係員がピストルを掲げる。

 

パァン、という音と共に選手たちが一斉にスタートする。

 

 


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歓喜

スタートダッシュに成功したあきらは一番先頭を走っている。

 

会場に歓声が響く。

 

「…すごい…」
石井がはるかのシャツの袖を掴んで興奮する。
「喜屋武先輩…! 見てますか!? 喜屋武先輩!!」

 

「うん…」
はるかは笑顔で、しかし大粒の涙を目から溢れさせている。
「見てるよ…!」

 

風を切って走る選手たち。

 

先頭のあきらに追いつこうと必死の形相でみずきが迫る。

 

あきらは風を切る音を感じながら無心でトラックを駆け抜けていく。

 

競技場のスクリーンに映し出されている映像はあきらが先頭でゴールしたシーン。
そして、”風見沢高校新記録おめでとう”のテロップだった。

 

歓喜に湧く客席。
泣いている母に抱き着くともえ。はるかの母も目に涙を滲ませて笑いかける。

 

走り終えた選手たちがトラック上で息を整えている。

 

前傾姿勢になり、苦しそうな表情のみずき。

 

膝に手をつき呼吸を整えているあきらの背後から、はるか泣きながら抱き着く。

 

あきらは満面の笑みを浮かべる。

 

腕で涙を拭っているはるかのもう片方の手を握り、あきらが声をかけている。
その様子を少し離れて見つめる石井も涙を拭っている。

 

 


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近藤は……

ガーデン。

 

カレンダーは8月。
けたたましく蝉が鳴いている。

 

「ちょっと店長――!! 一体コレどういうことなんです――!!??」
久保が新聞を手に、興奮した様子で近藤に話しかける。

 

新聞の紙面には”芥川賞”という文字が躍っている。

 

いやぁ~、とにこやかに頭に手をやる近藤。

 

スゲーよなー、と大塚。

 

「もうビックリよ! 思わず新聞買っちゃったわ!」
新聞を見ながらまだ興奮した様子の久保。
「おめでとうございます店長!」

 

ありがとー、とヘラヘラ笑う近藤。
「俺じゃねーけど。」

 

新聞の一面には芥川賞の文字の下にちひろの写真と『徒花の実 九条ちひろ』という文字がでかでかと載っている。

 

久保は先ほどの興奮した様子とはうって変わって、だってお友達じゃない、と落ち着いた様子で近藤に声をかける。

 

そうだけど、と近藤。

 

久保は、それはそうとまだ新しいバイトが決まらないのかと近藤に問いかける。

 

ユイやあきらが辞めて以降、人手不足が続いており、キッチンも大塚とヘルプの人間だけなので早く新しい人を入れて欲しい、と発破をかける。

 

「いやぁ、募集はかけてるんだけどね~」
頭に手をやり申し訳なさそうな顔、飲食って不人気なのかな、と言い訳する近藤。

 

お願いしますよ、と念押しして久保は事務所から出て行く。

 

久保を見送った近藤は、窓を開けて煙草に火を点ける。
(今日も暑いなァ…)

 

咥えた煙草の煙をくゆらせながら、ぼうっと外を見るともなく見つめる近藤。
(結局、橘さんからの手紙は読めずにいる。彼女は俺を、恨むだろうか。)
蝉の鳴き声が鳴り響く中、近藤は鼻歌を歌う。
(いいんだ、それで。)

 

一瞬目を閉じ開く。

 

そして何かを考えてから、メモに文章を書き始める。

 

(”その地にとどまって得る幸せもあったかもしれない。仲間たちのことも忘れて…”)

 

”けれど”で近藤は文章を書く手を止め、空を見上げる。

 


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近藤のプレゼント

はるかが号令をかけて、炎天下の中、学校の外周を走る女子陸上部。

 

走りながら部員たちに短距離組はグラウンドに戻り、長距離組はもう少し走る、とはるかはテキパキと部員たちに指示を出す。

 

あきらと同様に短距離組で早く外周から上がった石井。
暑さにグロッキーになりながら、帰りにあんず屋のかき氷を食べに行きましょう、とあきらに泣きつく。

 

職員室。

 

吉澤が、進路調査票を出していないのはお前だけ、と楠先生に注意されている。

 

うるさそうな表情で、わかってるっスよ~、と答える吉澤に、高3の夏はあっという間に過ぎる、とガミガミ言う楠先生。

 

吉澤は窓の外を見つめながら呟く。
「こえ――な――――…」

 

女子陸上部。

 

石井が戻ってきた長距離組のはるかに、はやくないですか、と問いかける。

 

熱中症になるから引き上げてきた、と俯いていたはるかが、あきらに話しかける。
「あれ? あきらそれ折りたたみ傘?」

 

こんな晴れているのに雨が降るのかと驚く石井。

 

ガーデン。

 

窓辺で外を見つめていた近藤は、いつまで休憩しているのか、という事務所まで響く久保からの大声に、バイッ、と返事をする。

 

「これ、ただの傘じゃないの。」
はるかの問いかけに答えながらあきらが傘を開く。

 

あ! とはるかと石井の表情が明るくなる。

 

久保の近藤を呼ぶ声は続く。
慌てて机の引き出しにメモを入れる近藤。
「今行きまーす!」
近藤は笑顔で久保に答える。

 

(”―――仲間たちのことも忘れて…けれど、”)

 

「日傘!」
はるかと石井が声を合わせる。

 

あきらは、練習着姿でグラウンドで傘を差し、笑顔で佇んでいる。

 
近藤のメモの続き。
(”彼女は恋をしていた。”)

 

(青い夏の、雨上がりの空に―――)

 

青空と、そこにかかる入道雲。


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感想

美しい終わり方

キレイな最終回だった。

 

1年ぶりに競技に復帰したあきらが劇的な勝利を飾った事以外は、日常が淡々と過ぎていく様が描かれている。

 

しかし、近藤にしてもあきらにしてもその表情は満たされている。

 

以下、とりとめもなく、そしてしょうもない感想をつらつら書いていきたいと思う。

 

まず、あきらも近藤も、二人の最後のコマが笑顔で終わったのは本当に良かった!

 

ハッピーエンドで爽やかな読後感になることは確信していたが、その通りになって良かった。

 

恋愛の成就を望んでいた読者には不満だったかな……。
むしろ自分は、ある意味、人と人との理想的な結びつきの在り方のひとつを見た思いなんだけど……。

 

世の中にこんな関係ってある? 正直、こんな想い出がある事は、下手な恋愛関係になるより羨ましいと感じたな。

 

これは爽やかなハッピーエンドと解釈して良いと思う。
二人は出会う前よりも明らかに幸福になっている。
それが、互いに良い影響を与え合ったからだというのは、もう疑いようが無い。

 

どちらも好きなもの、つまり近藤は小説――書く事を取り戻し、あきらは陸上――走る事を取り戻した。

 


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あきらの恐れていたもの

この最終話では、あきらの心情の描写に比重が置かれている。

 

レース直前、クラウチングスタートの状態での過去の自分――あきらが逃げ続けてきた自分との対話からは、あきらのこの一年、近藤から受けてきた影響の大きさを見て取れる。

 

あきらがアキレス腱断裂という重傷の治療後にリハビリに取り組まずにガーデンでのバイトに精を出していたのは、たとえ復帰した所で、ケガをする以前の過去の記録を越えられないかもしれないという恐れからだった。

 

55話で山本先輩がはるかに指摘した事が正解だったわけだ。

 

「ずっとボールに触れていたい。好きだからさ。」
「まぁでも、才能のあるヤツはそう簡単なハナシでもないんだろうな。」
「単純にケガの再発の恐怖もあるんだろうけど…」

「けど…?」続きを促すはるか。

「まわりの期待値も高いだろ。」

「それになにより、本人の理想もさ。」

恋は雨上がりのように55話のネタバレ感想と考察。山本先輩かっこいいじゃん。
第55話サッカー部3年の山本先輩ついに登場。前回53話の詳細はこちらをクリックしてくださいね。はるかと山本の会話放課後のチャイムが鳴る学校。「喜屋武センパーーイ」...

 

あきら自身、陸上を続けたところでもう自身の限界を越えられないのではないかという想いに囚われていた。

 

あきらは元々、悩み事をあまり周囲に開示しない傾向が見られる。
せいぜいインターネットの質問サイトを使う程度か。

 

少し本気で走っただけで痛む自身のアキレス腱に対し不安しかなく、それを主治医の諸星はおろか、母にもはるかにも相談できなかった。

 

挙句、あきらは陸上――自身の弱さと向き合う事が苦痛になり、ガーデンに逃げたのだった。

 

ガーデンで働き、近藤や職場仲間と関わっていく日々の中で、近藤から陸上に関して触れられた際にあきらは過剰なまでにその話題を拒否する。

 

どこまでも陸上、弱い自分に向き合いたくなかった。

 

しかし最終回では、あきらは自分の限界がもう越えられない事よりも、それを恐れて走らなくなる事が怖いのだと、再び小説を書き始めた近藤から気づいていた。

 

描写はなかったが、1月からリハビリを必死にこなし、練習にも力を入れていただろう。

 

アキレス腱の調子を気にせず、ただただ風を感じるままに走ったあきらは、走り終えた後、まるで子供の頃にはるかと走り回っていた時の様に無邪気に笑った。

 

自身の弱さを乗り越え、近藤と同じく大切なものを取り戻した瞬間だった。

 

涙を流してあきらの勝利を喜ぶはるかとの合わせ技で、さすがにうるっと来たわ……。

 


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読者の想像に任せる

今後、あきらと近藤がくっつくかくっつかないかはギリギリのところで読者の想像に任せた終わり方と言って良いと思う。

 

自分はくっつかない派かな。この終わり方だとそれが自然に思えてしまう……。

 

その地にとどまって得る幸せもあったかもしれない。
仲間たちのことも忘れて…彼女は恋をしていた。
青い夏の、雨上がりの空に―――。

近藤が最後に残したメモはあきらの事だ。

 

その地にとどまって得る幸せもあったかもしれない、というのはガーデンの事かな。

 

次に”仲間たちのことも忘れて”と来るから、それははるかや、母などあきらの陸上復帰を望む人たちの事か。

 

そして、”彼女は恋をしていた”――。

 

近藤は、まさか自分があきらの恋の相手だとは思いもよらなかっただろう。
そのおかげで近藤は大切な気持ちを思い出し、小説を書き始める事になる。

 

純文学を愛する近藤にとっては、81話で本人が言っていた通り、あきらとの1年は忘れられないだろう。

 

近藤はメモを書いてからふと空を見上げるが、ひょっとしたら空ではなくツバメの巣があった場所を見ていたのかもしれない。

 

一時期あきらは、自身をさながら巣立ちの遅れたツバメのように感じていた事があった。

 

ユイは吉澤に告白し、フラれてもそれを力強く乗り越えた。
はるかも、あきらに正面から陸上復帰を促すくらいに強くなった。

 

あきらは、そんなユイとはるかの明らかな成長っぷりに、自身が取り残されたような気持ちになる。

 

しかし、あきらもまたこの最終回で見事に巣立ちを果たした。

 

二人の道は分かれたが、しかし、最後のコマがあきらも近藤も笑顔だった事が象徴しているように、二人はそれぞれの場所で明るく生きている。

 

高校を卒業したあきらがガーデンに顔を出すことがあるかもしれないし、無いかもしれない。

 

以降の二人は、もう読者が想像したら良いよい事なのかもしれない。

 

それよりもユイや加瀬が出てこなかった事に驚いている。

 

正直この二人は最後気まずいままこの作品から退場した。

 

今回、最終回であきらと近藤の最後のコマが笑顔だったように、何かしら明るい表情が見たかったんだけどな……。

 

なんか寂しいからスピンオフを望む。単行本一冊くらいの分量で描いてくれないかな……。

 

この点だけは、なんかすっきりしないよ……。

 


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謎というより想像の余地

読者として気になっていたいくつかの点は明らかにされないままだった。

 

しかしそれは”最後まで謎だった”のではなく、”想像の余地として残された”と解釈したい。

 

あきらの手紙に関しては、結局近藤は封を開ける事すらしなかったようだ。

 

何て書いてあったんだろうなぁ……。気になる。
近藤がいつか開封する日が来るとしても、それは相当先なんだろうな。

 

あきらの手紙に関しては、きっと近藤にとっては内容がどうとかいうより、冴えない中年男性であるところの自分に対して手編みマフラーに添えて送ってくれたという事実自体に価値があるのだと思う。

 

二人の一年は間違いなく近藤にもそしてあきらにとっても人生にプラスになった。

 

81話で近藤があきらに言った最後の言葉も分からず終い。

 

やはり、ガーデンを辞めて陸上に集中しろ、という感じの内容を、近藤が優しく、その穏やかな口調で伝えたということだ。

 

実際に言ったセリフが知りたいところだが、それは想像してってことなんだろうな。

 


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日傘の意味

照りつける夏の日差しからあきらを優しく守る日傘は、陸上を取り戻した――雨が止んだ後もまだ、近藤があきらの心の支えになっている事を現しているのだと解釈した。

 

あきらの恋心は続くだろうけど、何だか、あきら自身はそれが叶わなくても良いと思っているように見えた。

 

そして、近藤と会わないでいるうちにいつしか本当に近藤への恋心は思い出になっていくのかな、と思った。

 

冒頭に書いたけど、最後は二人とも笑顔だった。これに尽きる。

 

続きは望まないが、でもユイと加瀬に関しては何かしら救済が欲しいな……。

 

何かあることを期待したい。

 

予約するなら特装版でしょう。

番外編をもう1巻出して欲しいな~。

 

最終巻10巻について。

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10 件のコメント

  • 単行本かアニメの最終回で明かされる近藤の最後の言葉。
    あきらの手紙の内容。
    その後の二人の物語。に期待します。

    • その後はどうなるのか気になりますね。
      二人の人生はもう交わらないかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

      ひとまずキレイに終わったので自分としては満足です。

      ただ、番外編があれば嬉しいですが(笑)。

  • こんにちは。

    終わっちゃいましたねー。コメントしようかどうか迷っていたのですが、何か巷では終わり方が気に入らないと叩いている方々がおられるようなので、自分なりの感想を。

    最終回に関して言えば、管理人さんとほぼ同意見です。

    あきらが陸上に復帰する事は必至だと思っていたのでまさにその通りだったし、自分もあのゴールシーン、はるかの涙とあきらの笑顔にはウルっと来ましたよ。

    店長が手紙を読めないでいたことは意外でしたが、そうなんです。その後の事が日常的に描かれている事がこの物語の良さなんだと思います。(まだ続きがあるような。)

    店長が小説で何らかの賞をと思う方もいらっしゃった様ですが、自分としては流石にそれは出来過ぎだろうと思っていたのでこれで良かったんです。(賞を取ったのがちひろだったのはうまいこと描いたなと思いました。)

    最終回云々より、今までのストーリーで十分楽しませてもらったんです。もう眉月先生に感謝です。

    自分は特に続きが読みたいとは思いません。この物語はこの美しい終わりで良いと思っています。

    あの部分や、あの言葉は全て読者の想像で良いと思います。「登場人物の心理を自由に想像しながら小説を読むのは楽しい。」と店長は言っていましたし、漫画もまたしかりです。

    でも、最後にあの傘が出てきたのは良かったですね。あの絵、単行本では色つけてくれないかなー。

    • こんにちは。終わっちゃいましたね(泣)。

      やはり気に入らないという感想あるんですね。
      多分、あきらと近藤の二人での会話が無かったからかな。
      良い解釈をすれば、それだけ感情移入してる人がいたと。

      自分は近藤もあきらもそれぞれ幸せになればそれで良いと思っていたので、この終わり方には文句は無かったですね。

      >自分もあのゴールシーン、はるかの涙とあきらの笑顔にはウルっと来ましたよ。

      良かったですよね~。
      駅伝を一緒に観に行ったあたりから、それまであきらとはるかの間にあったしこりはとっくに無くなっていたように思いますが、ゴール後の二人の表情は良かった。

      >店長が手紙を読めないでいたことは意外でしたが、そうなんです。その後の事が日常的に描かれている事がこの物語の良さなんだと思います。(まだ続きがあるような。)

      日常感の良さ、すごくわかります。
      漫画だからといって、必ずしも劇的である必要はありませんしね。

      >店長が小説で何らかの賞をと思う方もいらっしゃった様ですが、自分としては流石にそれは出来過ぎだろうと思っていたのでこれで良かったんです。(賞を取ったのがちひろだったのはうまいこと描いたなと思いました。)

      確かにそれだと出来過ぎですよね(笑)。
      自分もひょっとしたら近藤が賞を獲るんじゃないかと考えてましたが、現実はそんなに甘くない。
      そもそも近藤が自分の作品を賞に出したかどうかすら描写されてませんでしたね。
      まさか、と思わせておいてちひろが獲っていたのは”おー、そうきたか!”と思いました。うまいオチでした。

      >最終回云々より、今までのストーリーで十分楽しませてもらったんです。もう眉月先生に感謝です。
      >自分は特に続きが読みたいとは思いません。この物語はこの美しい終わりで良いと思っています。

      同意します。楽しかったですよね~。眉月先生には感謝というのも同意です。
      自分はあきらの物語の続きというより、加瀬に関して補足する番外編が欲しいとはまだ思っていますが……(笑)。
      でもこれで全部終了ならそれも受け入れます。この物語を紡ぐ神は眉月先生です。

      >あの部分や、あの言葉は全て読者の想像で良いと思います。「登場人物の心理を自由に想像しながら小説を読むのは楽しい。」と店長は言っていましたし、漫画もまたしかりです。

      近藤先生の講義がしっかりと身についていますね(笑)!
      その通りだと思いました。

      自分は本当は何て言っていたのか知りたいと思ってましたが、想像するのも楽しいですよね。

      >でも、最後にあの傘が出てきたのは良かったですね。あの絵、単行本では色つけてくれないかなー。

      ただの折り畳み傘ではなく、まさか日傘だったとは……。
      自分はあの日傘の色に関して白ではないかという印象を受けました。
      実際はどうなのか、色がついた絵を見てみたいですね。

  • 初コメ失礼します。
    キレイにまとめたなーとは思いましたが、芥川賞なら尚更店長が獲って欲しかったです。コンビニ人間で賞獲った作家さんみたく。あきらが立ち直って店長も、てなると上手く行き過ぎってのはわかってはいるんですが。
    そもそも芥川賞って純文学の新人に与えられるもんじゃなかったのかと。ちひろって作家のド新人に見えないんですがこの世界では違うのか。
    色々と消化不良なので番外編は期待したいとこですが、キリのいい10巻で終わってるので厳しいかも知れませんね。

    • ARIAさん、コメントありがとうございます!

      >芥川賞なら尚更店長が獲って欲しかったです。コンビニ人間で賞獲った作家さんみたく。

      ああ、そういう受賞者の作家さんがいらっしゃいましたね!
      近藤が現在の立場で獲ったら話題になるでしょうね~。

      >あきらが立ち直って店長も、てなると上手く行き過ぎってのはわかってはいるんですが。

      そうなんですよね。そうなるとリアリティが……。

      >そもそも芥川賞って純文学の新人に与えられるもんじゃなかったのかと。ちひろって作家のド新人に見えないんですがこの世界では違うのか。

      新人に与えられるものなんですか。
      確かにちひろは作家歴が長いでしょうね。
      自分は、きっとちひろはそれまでにノミネートくらいされてたけどついに受賞に至ったのかな、くらいに受け取ってました。

      >色々と消化不良なので番外編は期待したいとこですが、キリのいい10巻で終わってるので厳しいかも知れませんね。

      眉月先生がこれで終わりというなら読者はそれを受け入れるより他ありませんね。
      これまで楽しませてくれた事に対する感謝のみです!

      映画観に行きますし、テレビドラマになったら観るつもりです!

  • 日常性の話題が出てますけど、それが恋雨のいいところというか、凄いところなんですよね。原作に登場する聖地って何ひとつ特別なところはありません。横浜のデートコースは汽車道からワールドポーターズで横浜なのに何故ここ?って感じだし。あきらのいいカットが描かれるポイントも、ドラマだったらあり得ないような平凡さ。あきらと店長が雪の中歩いた道路は実在しますが、恐ろしく地味なところです。あきらは花形の100mではなく200mの走者だし、全国大会で優勝するような話でもない。(出場はするっぽい)ドラマのような劇的なことなんて何もないんですよね。
    その日常性の中で、傷ついた少女が店長たちとの相互作用によって復活していく物語なんです。だから、これからも日常が続くはずです。青春や恋の日常って儚いものですよね。あきらの中で「あの人」だった店長のことも思い出の中に遠のき、やがて忘れてしまうかもしれない。それは、店長に同化しているおじさま読者にとっては残酷なことでしょう。でも、日常ってさりげなく美しいと同時に儚く残酷なものです。
    作者の真意はそれを描くことにあったと思えるんですよ。ブログにそこまで書いてませんが。
    恋雨は、そんな青春漫画の金字塔になることをぼくは疑っていません。

    • k-oniisanさんは自分よりよっぽど深く恋雨を読み、楽しまれているように思いましたね。別に比べるもんじゃないですけど。
      色んな方々の書き込みにより色々読み直せて楽しいです。

      >日常性の話題が出てますけど、それが恋雨のいいところというか、凄いところなんですよね。

      >あきらと店長が雪の中歩いた道路は実在しますが、恐ろしく地味なところです。

      うわー、あのシーンもやはり実際にあるロケーションなんですね! 
      自分は夏休みの補習の帰り、バスを逃したあきらが風見沢高校から富岡駅まで歩くシーンが好きなんですが、あの道も実際にあるんですよね。
      去年のちょうどこの時期くらいに歩きましたが春先だったのにもかかわらず暑かった。
      夏真っ盛りだったらそりゃ暑いだろうな、と思いました。
      あきらが途中でアイス食べてますが、その店も道中にあって感動しました。

      >あきらは花形の100mではなく200mの走者だし、全国大会で優勝するような話でもない。(出場はするっぽい)ドラマのような劇的なことなんて何もないんですよね。

      確かにドラマ的な展開は無かったですね。それでも物語には吸引力がありました。

      >その日常性の中で、傷ついた少女が店長たちとの相互作用によって復活していく物語なんです。だから、これからも日常が続くはずです。青春や恋の日常って儚いものですよね。あきらの中で「あの人」だった店長のことも思い出の中に遠のき、やがて忘れてしまうかもしれない。それは、店長に同化しているおじさま読者にとっては残酷なことでしょう。でも、日常ってさりげなく美しいと同時に儚く残酷なものです。
      作者の真意はそれを描くことにあったと思えるんですよ。ブログにそこまで書いてませんが。

      作品の本質をk-oniisanさんのコメントが突いているように感じます。
      これからも日常は続く。まさにそんな終わり方でした。

      >恋雨は、そんな青春漫画の金字塔になることをぼくは疑っていません。

      同意です。今後も長く読み継がれる作品として親しまれて欲しいですね!

  • 初コメ失礼します。
    あきらも、ユイも、マフラーと共に気持ちを伝え、報われなければ潔く諦め、美容師や陸上を目指す覚悟をしていたのではないでしょうか。何ヵ月も前から。
    (リハビリ冊子も自分から貰ってましたし、進路を決めねばならぬ学生の時間は有限ですし)
    手紙の内用も、そのことかなあ・・。
    だからこその、80話の必死の最後の抵抗。でも想いは届かなかった。

    なんて、想像しています。

    くっつかなかったのは残念ですが、綺麗な想い出になりましたよね。良い終わり方かと。

    • らくださん、コメントありがとうございます!

      >あきらも、ユイも、マフラーと共に気持ちを伝え、報われなければ潔く諦め、美容師や陸上を目指す覚悟をしていたのではないでしょうか。何ヵ月も前から。
      (リハビリ冊子も自分から貰ってましたし、進路を決めねばならぬ学生の時間は有限ですし)

      確かに、リハビリの冊子貰ってましたね。
      ダメだったら引く覚悟か……。なんていうか、恋愛って難しいですね。

      >手紙の内用も、そのことかなあ・・。

      言葉で伝えられないから文章で、ということでしょうか。
      近藤が読まなかったのは賢明だったのかもしれませんね。
      もし読んでいたら25話で抱きしめた時みたいになってたかも。

      いや別にくっついたらくっついたで良いと思いますが(笑)。

      >だからこその、80話の必死の最後の抵抗。でも想いは届かなかった。
      >なんて、想像しています。

      確かに、あきらのあの態度は”抵抗”でしたね。
      何としても、この元旦で近藤との関係を進展させるんだ、という想いを感じました。
      もし事前にらくださんの仰ったような”覚悟”をあきらがしていたのだとしたら、あきらが可哀想になってしまいますね。
      ただ、それもまた青春の大切な1ページとなっていくんでしょう。

      >くっつかなかったのは残念ですが、綺麗な想い出になりましたよね。良い終わり方かと。

      良いですよね。
      あきらは大人になったら段々近藤との思い出の詳細な点は忘れていってしまうかもしれない。
      でも、近藤に恋していた17歳の頃を思い出す時、あきらの顔には常に笑顔があるんじゃないかと思います。

      近藤にとってはこの1年のあきらとの思い出は彼の人生において一生輝きを放つ宝石でしょう。

      2人が結ばれるのを期待してた人達にとっては、うーん、って想いもあったのかもれません。
      ただ、最終回であきらと近藤が笑顔でそれぞれの日常を生きているという点は喜んでも良いんじゃないでしょうか。

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