漫画とほぼ同時に、アニメもついに最終話である12話を迎えた。
オリジナルの展開だったが、実は原作の再現シーンも随処に挟まれている。
結構詰め込まれている印象を持った。
目次
アニメ第12話 つゆのあとさき
原作第64話の内容
進路希望調査票をもらった吉澤が大塚とに関するやりとり。
本社に向かう近藤がガーデンを出発する前にあきらの名を呼ぶ際に「たつばなさん」と噛むのは原作第51話から。
ユイに髪を切ってもらっている吉澤がの将来に関する会話を。
漫画だとこの二人の関係には決着がつくが、アニメでは吉澤に美容師の夢を応援してもらったユイが感激のあまり涙を流すところまで。
原作にはこの展開はないけど、最終話だしユイ×吉澤の関係はこの描き方で良かったと思う。
「ここで一緒に風を見よう」
風見沢高校のグラウンドに学校見学に来ていた中学生二人を発見するはるか。
はしゃぐ中学生たちを見て、自分とあきらがかつて彼女たちと同じように風高を見学した時の事を思い出す。
「名前が良いよね。風を見る高校。ここが良い。あたしもここに決めた!」とはるか。
「ここで一緒に風を見よう!」
あきらの言葉にはるかは、うん、と頷く。
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原作第59話の内容
あきらが勇斗から走り方のレクチャーを頼まれ、事務所の外の駐車場で教える事に。
転んだ勇斗のそばに行き、一休みしようと声をかけるあきら。
勇斗は、まだゴールしていない、とあきらの提案を拒否する。
「『転んでビリになってもゴールまで走るんだ! あきらめるな』って」
『あきらめるな』? と聞き返すあきら。
「『転んだって良いんだ』って。起き上がって走れば。あきらめずに何回でも走れば。」
「『ちゃんとゴールしないとダメなんだ。走ったことにならないから』って、お父さんが言ってた』
「お前と一緒にお父さんも頑張るって。あきらめないって。」
「だからビリでもゴールするってお父さんと約束したけど、僕は一位になりたい。」
勇斗の力強い言葉を受けあきらは、わかった、と笑顔で答える。
再び走り出した勇斗の姿を見守っていると突然、後輩の石井、そしてはるかが走っている姿が重なり、あきらは”はっ”とする。
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約束
事務所。
本社から帰って来ていた近藤は、バイト上がりで学校の制服に着替え終わったあきらと事務所で鉢合わせする。
近藤はあきらに、勇斗に走り方を指南してくれたことに感謝を示す。
勇斗はこれからも練習すると言っていたが、なんでも途中で放り出すからな、と言う近藤。
あきらは、大丈夫だと思います、と声をかける。
勇斗の筋の良さを褒めた後、あきらは勇斗から聞いた言葉を返す。
「走り切れます。ゴールまで。お父さんとの約束ですもんね。」
ああ、と笑う近藤。
「約束なんて言っちゃうとアレだけど、勇斗と一緒に自分にもね、約束をし直したんだ。しまいっ放しになっていた約束を。」
小説…ですか? とあきら。
「うん。書いてる。ぜーんぜん思う様には書けてないんだけどね。でも…すごく楽しい。」
「守れぬ約束にまた約束を重ね、約束に苦しみ、そして約束に教えられた。」
「ただ一つ文学に寄り添い生きると交わした自分との約束。これだけ果たしたいと思ってる。」
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原作第51話の内容
近藤は何かを思い出し、あきらに紙を手渡す。
![恋は雨上がりのようにアニメ第12話 あきら](https://xn--p8jl8gkd6mma8251dul8ave4h.biz/wp-content/uploads/2018/03/koiani12_04.png)
「これ、シフト表。」
一応希望通りに組んだんだけど、とあきらを見る。
あきらはシフト表をじっと確認して、近藤に笑顔で視線を送る。
「ありがとうございます。」
失礼します、と言って去ろうとするあきらに近藤が声をかける。
「もしかしたら橘さんにもあるんじゃない? 忘れていた自分との約束が。」
帰宅後、押し入れから過去につけていた陸上ノートを取り出すあきら。
その中に、風見沢高校のパンフレットを見つけ、はるかと一緒に風高に見学に行った時のことを思い出す。
(もしかしたら橘さんにもあるんじゃない? 忘れていた自分との約束が。)
近藤の言葉を思い出す。
あきら”リハビリを始めるあなたに”という冊子を手に取り、その表紙を見つめる。
勘違い
本社に度々行っていたのは昇進ではなく”まるみーパフェ”の作り方が中々習得出来ない為だった。
呆れて事務所からいなくなるガーデンメンバーたち。
残されたあきらと久保を残し、近藤は本社へ向かう。
あきらと久保はファイルを忘れている事に気付き、あきらが小雨の降る空の元、近藤に届けに向かう。
あきらは少し離れた所でバスを待つ近藤を発見する。
そして回想。
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回想
陸上ユニフォーム姿でトラック上に俯せになり、苦しそうに息をしているあきら。
観客の歓声の中、あきらー! 立てー! と声が聞こえる。
何とか顔を上げると、はるかがあきらに向かって声をかけている。
「走れー! あきらー!」
何とか立ち上がったあきらは右足を懸命に引きずって何とかゴールする。
その光景を思い出したあきらは、近藤に向けてゆっくりと歩み出す。
ゴールした後、腰を屈めて顔を拭うあきらに、泣くな! とはるかが叫ぶ。
あきらが声のした方を見ると、はるかは流れる涙を拭いもせずに拍手をしている。
近藤の元に向かいながら、あきらは、はるかから”陸上に戻って来なよ”と言われた事や、かつて競技直前に互いに手を繋いだ事、風高に一緒に見学に行った時の事を思い出す。
(一緒に風を見よう。約束!)
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「雨はもう上がります」
バスが到着したものの、近藤はバッグの中にファイルが無い事に気付いてしょんぼりしながらガーデンへ向かおうとする。
そこにあきらが駆けつけ、持っていたファイルを近藤に手渡す。
近藤はあきらの右足を見て、大丈夫? と一言声をかける。
「雨はもう上がります。」
笑顔で答えるあきら。
近藤は笑顔になって、差していた傘をしまう。
見つめ合う二人の空間を近藤の携帯電話の着信音が破る。
電話に出て電話口の相手に謝る近藤に、あきらはぺこ、と頭を下げてガーデンに戻ろうとする。
遠くなっていくあきらの姿を見つめる近藤。
濡れた路面に陽光が反射し、まるで空を歩いてるようなあきらに見惚れる。
近藤は失礼します、と電話を切り、橘さん! と声をかける。
あきらは立ち止まったかと思うと、急に振り返る。
解けた髪を揺らし、近藤に向かって軽やかに走り出す。
近藤は胸に飛び込んできたあきらを受け止め、抱きしめる。
しかし、それは近藤が脳裏に描いた一瞬の妄想。
振り向いたあきらに近藤は語り掛ける。
「いつか、僕らそれぞれの約束を果たしたら。」
![恋は雨上がりのようにアニメ第12話 近藤](https://xn--p8jl8gkd6mma8251dul8ave4h.biz/wp-content/uploads/2018/03/koiani12_06.png)
「教えます。すぐに。必ず。」
うん、と笑顔で頷く近藤。
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あきら、陸上復帰の意思をはるかに伝える
もう一度
一緒に風を見よう!
あきらから送られてきた陸上へ復帰する意思を伝えるメッセを見て、はるかは涙を流す。
『恋は雨上がりのように』
髪を解き、空を上げるあきら。
近藤も、バス停で空を見上げる。
忘れない。
時が過ぎてもどこに居ても明日教えてくれた人を思い出す。
雨上がりの空を見る度に。
小説を書き上げた近藤。
タイトルは『恋は雨上がりのように』。
![恋は雨上がりのようにアニメ第12話 原稿](https://xn--p8jl8gkd6mma8251dul8ave4h.biz/wp-content/uploads/2018/03/koiani12_09.png)
漫画とは違うラスト
漫画の完結自体つい最近の事だし、原作とラストが違っていて当然なんだけど、あきらと近藤の今後の関係性は原作と真逆になった。
漫画と同様、二人の人生は出会う以前よりも輝きを増して今後も続いていくのを感じさせる。
加えて、アニメにおけるあきらと近藤のラストのやりとりは、今後二人が付き合う可能性も十分ある流れと言えるだろう。
これからあきらと近藤はそれぞれの約束を果たすため、あきらは陸上、近藤は小説に取り組む。
そして、「それぞれの約束を果たした」時、再会するのか。
あきらと近藤がくっつく事を望んでいた人にとっては原作よりは救いがあるラストと言って良いのではないか。
あと、漫画、アニメのどっちのラストも、あきらが陸上に復帰するのを下手すれば本人よりも望んでいたはるかが一番救われてるように感じた。
未来の再会を誓って一時のお別れ。ちょっと陳腐かもしれないけど、原作とは全く異なったエンディング。再会結合を望む皆さん良かったですね、と思ったんですけどこれ、実は別離ENDですよね。最後の、時が過ぎてもどこにいても忘れない(要約)ってセリフ、別離を前提としていなければ出てきません。しかも両者がシンクロしてるんだから、ふたりとももう会えなくなるかも知れないなと思ってるわけです。あきらが髪を解いたのは、ただちにガーデンから立ち去ることの示唆で、バス停で別れてからもうふたりは会うことはないんです。原作と同様に。
原作のような残酷さを伴うハッピーエンドとは相当趣を異にしますが、こんな別離の描き方ってあるんですね。胸が詰まると同時に唸りました。