恋は雨上がりのように最新第78話の感想(ネタバレ含む)と考察。”手編みのマフラー”と”許せない気持ち”。あきらから感じた近藤の胸に去来する想い。

恋は雨上がりのように第78話 あきら
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第78話

第77話のおさらい

あきらがトイレから出ると、近藤が手に持っている自分があげた手紙をじっと見つめている。

恋は雨上がりのように第77話 近藤とあきら

あきらは近藤の書斎となっている居間の隣の部屋を見て、近藤がいつから小説を書くようになったのかがふと気になり、それを本人に直接問いかける。

 

高校の頃、新聞委員で記事を書き、さらにそこにショートストーリーを載せていたのが始めだと答える近藤。

 

その答えを元に、あきらは頭の中で、もし高校時代の近藤と同じクラスだったら、という想像を始める。

 

あきらは近藤から堂々と、陸上大会の記事を書きたいからインタビューをさせてほしい、と頼まれる。

 

それを了承したあきらに、近藤は、大会の写真が欲しい事と、時間がある時に放課後に図書館に来て欲しいと言い残してその場をスマートに去る。

 

あきらは、自分から離れていった近藤をじっと見つめる。

 

放課後、運動場で部活の準備体操をしているあきらとはるか。

 

あきらははるかに写真が欲しいと頼む。

 

はるかからOKをもらうと、あきらはふと図書館の窓際にいる近藤を視界に捉える。

 

じっと近藤を見つめていると、サッカーボールがあきらに向かって飛んでいく。

 

あきらは、危うく自分の頭にボールが直撃するその直前、しゃがんでギリギリで回避する。

 

翌朝、登校中にあきらは早速はるかに写真を催促するが、忘れたと慌てるはるか。

 

その時、あきらはふと、文庫本を片手に登校する近藤の姿を見つける。

恋は雨上がりのように第77話 近藤

教室でも、前の席のちひろと会話する近藤の横顔を見つめるあきら。

 

翌日。写真を受けとったあきらは近藤からのインタビューを受ける為、放課後に図書室へ行く事を伝えようとしたところ、はるかから顧問の先生からあきらに早く来て欲しいと言われていると告げられる。

 

翌日、はるかにまた同じ事を伝えようとすると、後輩から、部活で1年のフォームをチェックして欲しいと言われ、またはるかに話を切り出せないあきら。

 

先に食堂で食事を摂っていた近藤としばし目が合うが、また近藤が食事を始める。
あきらはその場に立ち尽くして近藤をじっと見つめる。

 

翌日も後輩から昨日と同じ事を頼まれ、翌日もまた同じ。

 

今日こそ、と思っていたあきらはガクッと項垂れるが、その時、雨が降ってくる。

 

あきらは慌てて近藤が待っている図書室に駆けていく。

 

近藤はあきらに、もう来ないかと思った、と言われ、色々あって、と訳を話そうとするが、学食でにらまれたという近藤に対して、あきらは、にらんでないし! とムキになって否定する。

 

近藤はあきらが図書館に似合わない、と、クス、と笑う。

恋は雨上がりのように第77話 近藤とあきら

雨の日は退屈だろ、と原稿に向かう近藤に対して、あきらは近藤の向かいに座り、晴れの方がうれしいけど、雨の日もたまには悪くない、と答える。

 

その場面まで想像し、あきらは近藤に、学生時代に運動部と接点があったかと問いかける。

 

内心ドキっとして驚く近藤。

 

前回77話の詳細は以下をクリックしてくださいね。

恋は雨上がりのように最新第77話の感想(ネタバレ含む)と考察。あきらの想像する...
第77話第76話のおさらい机で文庫本を広げる高校生の近藤。あきらが近づき写真を差し出す。呆然とあきらを見つめる近藤に対して、あきらは睨むような視線を送って写真を...


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第78話

雪が降り続く。

 

近藤の部屋で、近藤とあきらがコーヒーをすする。

 

その時、あきらのお腹が、ぐうううー、と鳴る。

 

「あっおなかすいてる?」

 

近藤に問われ、顔をあきらは赤らめる。

 

近藤は、何もないんだよな、とぶつぶつ呟きながら台所の下の棚を探る。
あきらはその様子を近藤の背後から覗き込むようにして見つめる。

 

何かを発見した近藤。

恋は雨上がりのように第78話 やきそば

「インスタントやきそばがあった!」

近藤は、これ知ってる? とあきらにやきそばの袋を見せる。

 

はじめてみました、と答えるあきら。

 

近藤は、売ってるスーパーが限られるけどインスタントやきそばなら俺はこれ、と袋を開けて調理をはじめる。

 

公式とは違った作り方をする、と本来ならフライパンで麺を茹でるところを鍋で茹で始める。
茹で上がってから、ここからが重要、と最後の仕上げをしていく。

 

あきらは黙って近藤が調理している様子を背後からじっと見つめている。

 

台所から居間に戻った二人。

 

皿に盛ったやきそばの上に目玉焼きを載せた状態であきらの前に差し出される。

 

いただきます、と手を合わせるあきらを近藤がニコニコしながら見つめる。

 

あきらが箸の先で目玉焼きの黄身を潰し、潰れた黄身がやきそばに垂れていく。

 

「おお――ッ わかってるね橘さん!」
嬉しそうにあきらを褒める近藤。
「半熟の黄身をそばにからめて食うの!」

 

あきらは近藤の言う通り、やきそばを黄身に絡めて食べる。

 

むぐむぐ咀嚼した後、一言。

「おいしい…」

恋は雨上がりのように第78話 近藤とあきら

ははっ、と笑う近藤。


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あきらのマフラーに関するもやもやが解決

あきらが食事を終えて、こたつの上には湯気の立っているコーヒーが置かれている。

 

「橘さん、マフラーありがとね!」
近藤は紙袋の中からマフラーを取り出す。
「コレ、俺の誕生日にってこと?」

 

「ヘタくそですけど…」
伏し目がちに、ぽつりと答えるあきら。

 

近藤はそんなあきらを驚きの目で見つめる。

 

一瞬の間の後。

 

「コレ手編みなの!?」

 

 

「え…はい……」
近藤の叫びに近い問いかけを受け、あきらは頬を赤くしながらも近藤を見つめながら答える。

 

「…………ッ。」
近藤はマフラーを両手で持ち、驚きを隠せない様子でしげしげと眺める。
恋は雨上がりのように第78話 近藤
「…今どきの学生もマフラーとか編むんだね…」

 

あきらは、ん―――…と…、と天井を見上げる。
「そ、そんなに編まないと思います…」

 

そうなんだ………、と手元のマフラーをじっと見つめたまま近藤が答える。

 

そんな近藤の様子に若干不安を覚えた様子のあきらが近藤に問いかける。
「やっぱりちょっと重いですよね…」
しゅん…、と近藤から視線を外してテンションを落とすあきら。

 

「あ――やあ! ちがうちがう!」
近藤は左手首を否定の意味でぶんぶん振る。
「むしろなんだかカンドーしてしまって…」
嬉しそうにマフラーに視線を戻す。

 

「………」
あきらは近藤に冷静な視線を投げかける。
「でも店長…それとそっくりなマフラー、持ってますよね…」

 

え? と笑ったままの近藤が反応する。

 

近藤の死角にはマフラーが雑然と置かれている。

 

あきらからも死角なのだが、あきらはこたつから出てそのマフラーの元へとにじり寄る。

恋は雨上がりのように第78話 あきら

マフラーを指で追っ払うような動作をするあきら。

 

それを見ていて近藤は一瞬の間の後、ブフッ、と噴き出す。
「そんな猫が砂かけるみたいに…!」
ハハハ、と笑う近藤。

 

そんな近藤をあきらはじっと見つめ、こたつに戻る。

 

すぐに笑い終えた近藤は、再び両手でマフラーを持ち笑顔でそれを見つめる。
「ありがとう。使わせていただきます。」

 

ほっとした様子のあきら。


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どうしても許せなかった

近藤がマフラーをじっと見つめている。
そんなあきらが近藤を見つめる。

 

近藤があきらを見て問いかける。
「本当に橘さんが編んだの?」

 

編みました! と強めに答えるあきら。
「ちゃんとこの手で編みました!」
そして、近藤の顔の目の前に両手を突き出して掌を広げてみせる。

 

近藤は、はは…! と楽しそうに笑う。

 

はっ、と何かを思い出し、近藤はあきらの掌を見つめながら顔を近づける。

 

近藤が近付いてきた来た事にどきっとするあきら。

 

「年末この手で加瀬くんのこと殴ってたよね…?」
近藤はあきらを見つめながら若干戸惑い気味に問いかける。
「なんかあったの?」

恋は雨上がりのように第78話 近藤とあきら

「あ――――…あれは…」
落ち着いた様子で言葉を探すあきら。
「どうしても許せなかったので、ああなりました。」

 

近藤は真面目な表情であきらを見つめながら、どうしても許せないこと、とオウム返しする。

 

「はい。」
ユイに暴言を吐いた加瀬に対する怒りを思い出したのか、目をキリッとさせるあきら。

恋は雨上がりのように第78話 近藤とあきら

へ――…、と近藤は天井に視線を漂わせたかと思うと、そして一瞬の間の後、ははっ、と笑う。

 

「ハハハハハッ!」

 

堰を切ったように笑う近藤をあきらは不思議そうに見つめる。
そして一生懸命近藤に訴える。
「本当に本当に許せないことだったんです!」


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かつては自分もそんな世界で生きていた

「あ――いやいや…」
近藤は、笑ってごめん、と呟きながらあきらを見る。
「うん、そうなんだと思う。」
目元の涙を拭いながら続ける。
「だからつまり…橘さんは生きてるなァって…」

 

あきらは近藤を真っ直ぐ見つめている。
「どういうことですか?」

 

「あ――ハハハ。そうだよね。」
近藤は笑った理由をあきらに説明し始める。
「そんなの当たり前だって…橘さんは思うだろうけど…」

 

近藤は一瞬、手元のマフラーを見て、そしてすぐにあきらに視線を移す。

恋は雨上がりのように第78話 近藤

目の前には、真直ぐな視線で自分の事を一心に見つめるあきらがいる。

 

マフラーを大切に両手で持ち、近藤は暫し、そんなあきらに見入る。

 

(”許せない気持ち”)

 

(”手編みのマフラー”)

 

(かつては自分もそんな世界で生きていたはずなのに。)

 

近藤があまりにもずっと自分の事を見つめているのに照れたように、あきらが視線を逸らす。
恋は雨上がりのように第78話 あきら
そして、両手で持った小さなメモのようなものを楽しそうに見つめる。

 

近藤はそんなあきらをじっと見つめ続ける。

 

(今はその純度の高さに、息すらうまくできなくなりそうだ。)


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感想

インスタントやきそば

公式で推奨されている方法で作らないのあるあるだわー(笑)。

 

結局は公式の方法が一番最適化されている方法なんだろうけど、自分なりのアレンジで作ったのって、何というか公式では味わえない満足感があるんだよね。

 

麺の固さとか味の濃さの好みもあるだろうし。

 

若い女の子に自分なりの作り方を得意気に語る近藤も、近藤が楽しそうに調理している様子をじっと背後から眺めているあきらも微笑ましい。

 

目玉焼きの黄身を潰したあきらの行動を褒めていた近藤の気持ちが分かる。

 

自分も好きなやり方を他の誰かがそのままやると、何故か嬉しくなる。

 

それが親しい人だったら、分かってるね、って言うわ~。

 

1巻の頃から比べると、やはり近藤からあきらへの気持ちや態度が明らかに違うのが分かる。

 

もし1巻や2巻の時点であきらにやきぞばを振舞うシーンがあっても、近藤はここまで褒めたりしないだろう。

 

これまでの時間で着実に近藤とあきらの仲は深まってるんだなぁ、と改めて感じた。


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マフラーに対抗意識を燃やすあきらが可愛すぎる

マフラーを追っ払うように手先でぺっぺってやるのがかわいい。

恋は雨上がりのように第78話 あきら

猫が砂をかけるみたいと言った近藤の表現も良い。

 

そう言われると、本当にマフラーにぺっぺってやってたあきらが表情まで猫の様に見えて来るから笑える。

 

やはり、手編みのマフラーと言うことで渡したら重いと思われるかも、という心配をしてたんだなぁ。

 

近藤が、うん、重いわ、なんて言うわけないだろうに過剰に心配だったり不安になるのはやはり好きな人が相手だから。
そのあたりは男でも変わらない。

 

読みながら、近藤が使っていたマフラーはあきらに渡せばいいのに、と思った。

 

というか、そういう展開になると思ってた。

 

自分が使ってたやつをあげるなんて、と言う批判ってあるんだろうか?
もし自分なら、好きな人のやつだったらむしろ喜んで使うけど……。
冗談っぽく、じゃ交換するか、とでも言ったら角は立たないと思うし。

 

いや、本当に近藤は自分のマフラーをあげたら良いと思うよ。

この手でちゃんと編みました!

近藤の目の前に両手の掌を突き出したあきら。
可愛すぎる。

 

いいなー。
こんなの、好きな人相手にしかやらん。

 

いっそ手を繋いじゃえばいいのにと思った。
それを安易にやらない辺りが近藤の良さなんだろうけどね。

 

しかし、近藤の家を訪ねて来たあきらが大胆になってきているように感じる。

 

ガーデンでは遠慮がちになっていたのが、近藤の部屋では、明らかに近藤に踏み込めている。

 

ずっと気になっていた、近藤が持っているマフラーに関してきちんと突っ込めたし。

 

重いですよね、という確認も外で渡していたら出来なかったかも。


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近藤の言う「生きてる」という事

感情を大切にし、素直な気持ちで動いているという事かな、と思った。

 

(かつては自分もそんな世界で生きていたはずなのに。)

 

近藤のこの言葉に寂しくなった。

 

大人になるということは云々、みたいな大仰な話ではなく、社会で長く生きている内にそういう気持ちが徐々に無くなってしまっていた事に気付かされてしまった悲しさを感じた。

 

しかし、同時にそれは気付かせてもらったということでもある。

 

少しでも気持ちに素直に行動することを頭の片隅に入れておけば、目の前に何か選択肢を提示された時に、これまでとは異なる選択ができるかもしれない。
それはたとえ社会的に見て損な選択であっても、そこに後悔が無いものであればそれもまたベストな選択なんだと思う。

 

まだ近藤の部屋で二人きりの状況は続く。
果たして近藤はどうするのか。

 

あと、加瀬の暴言を思い出したのか、キリッとした表情になったあきらがかわいかった。

文章に脈絡が無いけど書かずにはいられなかった(笑)。
恋は雨上がりのように第78話 近藤とあきら

 

さて、あきらが近藤の家を訪ねたのが第74話、第75話から今回の第78話まで近藤の部屋の中での話なんだけど、二人にとって非常に濃密な時間になっている。

 

お互い、別に恋敵みたいなものは居ないわけだけど、近藤が第74話で感じた、もうあきらに会えない気がする、という予感が現実のものにならないようにと願うばかりだ。

 

この予感に突き動かされて79話以降、あきらと近藤の間が進展するのかもしれないけど、果たしてどうなるのか……。

 

あと、最後のあきらが読んでいたメモってなんだろう。
ちょっと読み返して確認してみよう……。

 

以上、恋は雨上がりのように第78話のネタバレを含む感想と考察でした。

前回79話の詳細は以下をクリックしてくださいね。

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