第8話
雨の降りしきる中、真剣な告白を終えたあきら。その帰り道、想いを伝えたという高揚もなく、うまくいかなかったという失望もなく、下を見て、無表情でとぼとぼと歩くあきらの脳裏に浮かぶのは過去のことだった。
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あきらの過去 怪我をするまで
傘もささずに歩いていくあきらの横を、派手に水を跳ねさせて車が通り過ぎていく。
あきらは1年生の頃を思い出していた。
チャイムが鳴って、猛スピードで走るはるか。
1-Cの教室の入り口から大きな声であきらを呼ぶ。
「あきら――っ!」
はるかの声に振り向くあきら。その表情は明るい。
「部活行こ!」
ケガをする前のあきらは現在のあきらより明るいように見える。
陸上が掛けがえの無い居場所で、充実していたのかなと思う。
女子陸上部の部室で着替えたあきらとはるか。
「冬でも紫外線はあるの!」はるかが顔に塗りながら答える。
「これ以上そばかす増やしたくない!」
「フーン。」
「おーい喜屋武――橘――」
先輩に話しかけられる二人。
「喜屋武タイム縮んだ?」
「や、あんまり…」手を頭に置くはるか。
「お前、おっぱいでかいからな。重いんだよ。」
「エ…」軽くショックを受けるはるか。
「あはは」と笑うあきら。
「橘みたいにひんにゅーじゃないと。」
「エ…」軽くショックを受けるあきら。
先輩ヒドイ(笑)。でも仲が良くないとこのイジリは出来ないし、あきらとはるかのこの反応は無いだろう。
良い先輩に恵まれたことがわかる。
「3年生なき後の女子陸は、橘にまかせたゾ~」外周ファイトーとあきらとはるかを応援する先輩。
良い表情で、ハイッと良い返事をするあきら。
はるかは難しい顔で、自分のおっぱいを両手で掴みながら眺めている。
あきらには暗い影が全くない。
はるかは何やってんだ(笑)。
外周を終えて、あきらと他の部員たちがグラウンドで集まって記録表を見ている。
「橘まじで速いなー」
「男子とはるんじゃね?」
「先生がスターターピストル使っていいって!」はるかがスターターピストルを掲げてあきらたちに近づいてくる。
「限定5回!」
「橘、走っといでよ。来月の記録会の練習!」
スタート地点で準備するあきら。
「あれ? あきら足どーした?」あきらの足が気になるはるか。
「あー、なんかちょっとね。テーピングしてるだけ。」
「え? 大丈夫? 無理すんなー。」
「大丈夫。」
クラウチングスタートの姿勢になるあきら。
「ヨ――――――イ」
スターターピストルが鳴ると同時にあきらがスタートを切る。
ビュビュビュ、と風を切って走るあきら。
突然、右足に痛みが走る。
あきらに駆け寄る部員たち。心配そうな表情で慌てて駆け寄るはるか。
右足首を手で押さえて座り込むあきら。
はるかの表情があきらの症状の深刻さを予感させる。
あきらの才能は突出したもので、皆大いに期待していた。
そんな中での絶望的なケガ。
あきらの心に穴を開けてしまったことは間違いない。
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怪我をしてからの孤独な日々
医師の話を泣きながら聞く母。
泣いている母と対照的に、あきらは無表情。
あきらは車いすでの生活を余儀なくされる。
教室。帰り支度をして教室から出て行くクラスメートたち。
まともに会話するクラスメートもいない。
いても会話する元気がないのかもしれない。
どちらにせよ、孤独なあきらの状況が分かる。
あきらはベランダに出て、外の景色を眺めながら暖かいココアを飲んでいる。
はるかと他の女子陸上部員が仲良く話している様子が視界に入る。
しゃがみこむあきら。
孤独を感じて、いたたまれなくなっているのか。
ケガをするまで自分の中にあった陸上という支えが無くなり、自分の居場所を見失ったように見える。
近藤正己に出会う
雨が降り出す。
ちょうど、あきらの視線の先にあるのはファミレス。
雨の降る様子をファミレスの中から眺めるあきら。
そこに、突然コーヒーが差し出される。
「あの、あたしコレ、頼んでませんけど…」あきらは戸惑いながらコーヒーを差し出してくれた店員に言う。
その店員は近藤だった。
「サービスです。」笑顔で答える近藤。
あきらが近藤に好意を持った理由がわかるのか。
「あ…りがとうございます。」コーヒーの持ち手を持つあきら。
「……」口をつけない。
「あッ!」
「もしかしてブラック苦手!?」
あきらの様子から気づく近藤。
「ちょっと待ってね。」何やらごそごそしている近藤。
右手を掌を上にしてテーブルの上に出し、グーにする。掌を開くとミルクが乗っている。
近藤はそれをあきらの前にトン、と置く。
近藤の手品を呆けたように見ているあきら。
「きっと、すぐやみますよ。」
近藤は、笑顔でテーブルを離れていく。
中々かっこいいな。
確かに魅力的に見える。
あきらはその様子もじっ、と見ている。
またすぐそうやってあやまって!! とさらにボルテージを上げる久保の説教に、近藤は何度も高速で頭を下げる。
この様子も見ていたのに好意を持つあきら。
とりあえず性格は良さそうではある(笑)。
ブラックコーヒーに入れたミルクは渦を巻いていく。
「ありがとうございましたー。」笑顔で見送る久保。
久保さん仕事出来そう。
雲間からのぞく光があきらを照らす。
あきらは太陽か月かで言えば月のイメージ。月は太陽に照らされて光り輝いている。
近藤という光を見つけて、あきらが明るく照らされている。
以上、恋は雨上がりのように8話のネタバレ感想と考察でした。
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