第41話
右足首のケガをする夢を見て飛び起きるあきら。嫌な気分は学校でも、ガーデンでも続く。バイトを終えた帰り道、突然の雨に降られ、いつもの折りたたみ傘を鞄から取り出そうとするも教室に忘れてしまっている。嫌な気分が重なり、その場に立ち尽くすあきらを初秋の冷たい雨が濡らすが、背後から傘を差し出される。振り返ると近藤がいた。
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トラウマに囚われるあきら
調子よくトラックを走っていくあきら。笑顔を浮かべている。
あきらの行く先に黒いもやっとしたものが生じる。
それに気づいた時には右足に黒いものが絡みつく。
あきらはバランスを失い、転んでしまう。
うつ伏せの状態から首だけ起こし、足に感じた異変は何だったのか確認するあきら。
右足は闇に溶けるように消えている。
あきらは、ハッ、とベッドで目覚める。
けたたましく鳴るスマホのアラームを切り、ベッドから起き上がり、床に足を下ろす。
完全にトラウマになっているケガの記憶。
倉田みずきとの出会いで揺り動かされた気持ちが見せているのだろうか。
あきらが机に頬付けをついて、外を見ている。
友達が、バスが来る、とあきらに声をかける。あきらも鞄を肩にかけて教室を出る。
机横のフックにはあきらが忘れた折り畳み傘がかかっている。
場面転換。ガーデン。
ユイと久保が近藤がいないのは本社に行っているからだと会話している。
あきらは通常通り、客に料理を出したり、事務所でいつものサンドイッチを食べたり、普通のバイトの時間を過ごす。
夜になり、バイトを終えてユイに挨拶するあきら。
ガーデンからの帰り道を歩いていると、サアア、と雨が降ってくる。
慌てずに鞄を探すが、いつも入れているはずの傘はない。
雨の中、立ち尽くすあきら。
初秋の冷たい雨は、容赦なくあきらに降り注ぐ。
パシャ、と背後から音が聞こえ、あきらに雨が当たらなくなっていく。
振り返るあきら。
そこにはあきらを自分の傘に入れている近藤がいた。
「やっぱり橘さんだ!」
心配そうな顔をしている近藤。
「どうしたの? 事務所にカサなかった?」
あきらは振り返った姿勢のまま、近藤をじっと近藤を見ている
嫌なことが続き、抗う気力を失いかけていたあきらを近藤が救う。
タイミングが良過ぎなんだよ近藤さんは(笑)。
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「橘さんがブラックが飲めないこと、もう忘れないよ。」
テーブルに立てかけられた傘。
「誰かの忘れ物。使っていいよ。」
近藤が湯気の立ったコーヒーを持って立っている。
「最後の一本だから早いもの勝ち。」
あきらは首にタオルをかけ、事務所でイスに座っている。
「冷えたろうし、まあコーヒーでも飲んで。」
近藤が持っていたコーヒーをあきらの前に置き、テーブルを挟んであきらの正面に座る。
黙っているあきら。目には髪がかかっていてどこを見ているのかわからない。
「コーヒー冷めちゃうよ。」
コーヒーを指さす近藤。
あきらの反応はない。
少し間をおいて、近藤が気付く。
「あ……もしかしてブラック苦手!?」
「ちょっと待ってね…」
近藤はあきらから目線を外し、何やらポケットを探っている。
あきらは目の前のコーヒーを見つめている。
湯気を立てているコーヒーカップの上に、近藤が手のひらを差し出す。
わずかに目を見開き、驚いた様子のあきら。
近藤は笑みを浮かべている。
グッと拳を軽く握り、開く。そこにはコーピーミルクがある。
笑みを浮かべたままの近藤。
(あれ…? 前にもこんなこと…)
近藤が目線を上げて、あきらを見る。
あきらは笑みを浮かべている。
「店長はいつも、雨の日の私を助けてくれるんですね。」
コーヒーを見つめながら言うあきら。
何かを想い出した近藤。
それはあきらが客として来店した時にコーヒーをサービスした時の光景だった。
近藤は照れた様子で頭をかき、もう片方の手でコーピーミルクを摘み上げ、テーブルに置く。
「橘さんがブラックを飲めないこと、もう忘れないよ。」
雨が降り注ぐ中、事務所の窓は明るい光を放っていた。
あの雨の日にガーデンに入った時と同様、あきらはまたしても近藤に心を救われた。
しかし、陸上から逃げている限り、また同じような気分に襲われるのではないか。
向き合って克服する必要がある。しかし、あきらにまだその気力は無い。
以上、恋は雨上がりのように41話のネタバレ感想と考察でした。
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