第48話
あきらは本社に行くとガーデンを慌てて出て行った近藤が忘れたファイルを届けようとファイルを片手に近藤を追いかける。タクシーをつかまえようとしていた近藤に大声で呼びかけるも気づかれない。その時、あきらは以前は走れていた自分の姿を想い出す。
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以前のように走れたら……
その後何も問題はないか、という諸星に笑顔ではい、特に、と答える。
諸星は、定期検診終わり、また次回と諸星。
お礼を言うあきらに、諸星はこれからバイトかと問う。
「続いているね。」
「はい。」
一瞬の間の後、失礼します、と診察室を出て行くあきら。
あきらを見送った諸星と看護師が会話している。
「結局あきらちゃん、陸上復帰に向けてのリハビリはしないんですかね?」
「って言ってるねぇ。」
諸星は腕組をして、イスの背もたれに体を預ける。
「まぁこればっかりは肉体的な問題だけじゃないからなァ…」
「本人に、その意志がないと、なかなかむずかしいよ。」
「それに、今は陸上のかわりに夢中になっているものがあるみたいだしね。」
バスに乗っているあきら。
手帳を開き、橘11月シフト希望、月、火、金、土と書かれたメモにさらに日曜も大丈夫です、と書き込んでいる。
笑顔になるあきら。
充実してる様子のあきら。
ガーデンで過ごす時間はあきらにとって重要なものになっている。
出勤したばかりのあきらが、わからないことがあったら久保さんに聞いてね! と近藤がユイに言っている場面を目撃する。
近藤が、橘さんもよろしくね、と笑顔で声をかける。
あきらは何のことかわからずにはい、と答える。
何? とユイに問うと本社に行くんだって、と言うユイ。
事務所では近藤が会議の準備に追われて慌てていた。
ランチ中の久保に、会議に遅刻なんてありえませんよ! と言われて、ヒーと悲鳴を上げている近藤。
事務所に入って近藤の近くに行くあきら。
「店長。」
「コレ…来月前半のシフト希望です。」
あきらがメモを渡す。
ありがとう、とメモを受け取り、見る近藤。
「こりゃまた…ずいぶん働くねぇ…」
「……」
どこか照れたような様子のあきら。
近藤は、メモからあきらに視線を移す。
「橘さんさ…」
「店長! いい加減出ないと本当に遅れますよ!」
久保の言葉に、夜には戻ります! と事務所を出ていく近藤。
近藤が出て行ったあと、んまったく、とコーヒー片手に怒り気味の久保をあきらが見つめている。
あきらが近藤のデスクに目をやると、そこにはファイルがある。
拾い上げたあきらが青くなる。久保は額に青筋を立て、やはり青くなる。
走っていた近藤は時間がないとタクシーを拾うために手を挙げている。
ガーデンの外に出たあきらはファイルを持って近藤の姿を探す。
手を挙げている近藤に気づいたあきらは、店長―――――! と近藤に向けて叫ぶ。
近藤はあきらに気づかない。
ここからでは声をかけても気づかないことを悟ったあきらはその場に立ち尽くす。
考えることは、こんな時に以前のように走れたらということなのか。
「ま、忘れた方が悪いわよ!」
久保が腰に両手を当てて、言い捨てる。
ファイルを手渡すことが出来なかったあきらは元気がない。
「さ! 橘さん、仕事仕事!」
タイムイズマネーよ! とあきらに発破をかける久保。
あきらは、はいっ! と笑顔で久保に答える。
フロアでユイとマフラーの進捗状況について楽しそうに話し合う二人。
笑顔で接客するあきら。
以前のように走れたらファイルを渡せていたのかも、とあきらは別に感じる必要のない罪悪感を持ってしまっているのだろうか。
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他にやりたいことなんて、ありません
「いやぁ~ 大事なファイル忘れちゃって参った参った~!」
へらーっとした笑顔でコーヒー片手に頭に手をやる近藤。
「今年も昇進はないわね…」
この先もずーっと、と久保が青ざめている。
バイトを終え、が学生服に着替えたあきらとユイも無言で近藤を見つめている。
久保がお疲れ様、と声をかける。あきらとユイがお疲れ様ですと返す。
ユイがトイレに行ってくるから待っててとあきらに言い、事務所はあきらと近藤の二人きりになる。
いや~、と近藤がデスクに座る。
あ、とコーヒーに口をつけて、そうだ橘さん、と近藤があきらに声をかける。
はいっと返事するあきら。
昼にもらったシフト希望だけど、本当にこんなに入れていいの? 中間テストは? とあきらに問うこんどう。
あきらはロッカーを整理しながら、大丈夫です、入れます、と答える。
うん、そっか、と答える近藤だが、一瞬間をおいて言葉を続ける。
「バイトよりもやりたいことがあったら、そっちに時間とってもいいよ?」
ロッカーに向かって作業していたあきらが近藤を振り返る。
人で不足だけどなんとかなってるし、学校とかいろいろあるでしょう? と、ハハ…、と笑いながら言う近藤。
ロッカーの扉を乱暴に、大きな音をさせて閉じるあきら。
「他にやりたいことなんて、ありません。」
あきらの尋常じゃない反応に驚いている近藤。
トイレから帰ったユイが帰ろう、と笑顔であきらに声をかける。
違和感のあるあきらの様子に不思議がっているユイに近藤がおつかれ、と声をかける。
近藤は、二人が帰ったあと、あきらのメモを机に置き、口元に手をつけて無言で何やら考えている。
あきらのケガは陸上復帰できないほど致命的なものではない。
しかしあきらは陸上への想いを無理やり断ち切ろうとするかのようにふるまう。
近藤が気を利かせてあきらに他のことに時間を使ってもいいよ、と言っているのに、あきらは頑なにバイトを優先しようとする。
あきらのことが気になる近藤は、あきらにとっての陸上がどのくらい重要なものなのかということはまだ読者ほどには分かっていない。
しかし以前見せた俊足やはるかから聞いたアキレス腱のケガは致命的なものではないという情報から、あきらが今やるべきことはバイトだけでいいのか、という疑問を持っているのだと思う。
以上、恋は雨上がりのように48話のネタバレ感想と考察でした。
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