第57話

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あきらに気を遣うはるか
学生でざわめく学食にではるかが一人でうどんを食べている。
どこで食べようかとキョロキョロ座る場所を探しているあきらに気づき、ここが空いているとはるかが呼びかける。
一瞬驚くあきら。しかしすぐにはるかの隣の席に他の男子学生が座る。
それを見て笑い、他の席を探すあきら。
学食の学生の笑い声がはるかに空しく響く。
それを見て茫然となるはるか。
なんかタイミングが悪い。
それをごまかしたような笑い。
放課後、部活動の時間。
「あきらのバイト先に行ったぁ!?」
はるかが後輩3人に問う。
「はい。こないだ3人で行きましたー。」
「喜屋武先輩行ったことあります?」
悪びれずに言う後輩3人。
実際悪いわけじゃないんだけどね。
あきらが「来ないで」って言ったのをはるかは知ってるから。
「あとはずっとおじさんに替わっちゃってさ。」
きゃあきゃあ盛り上がる3人。
「今度また行こーよー!」
「いこーいこー♪」
「だめっ!!」
語気強く反対するはるか。
「もうあきらのバイト先に行ったらダメ!」
なんでですか?の後輩の問いになんでも!! と答えるはるか。
はるかは良い子だ。訳が分からなくても、あきらが嫌がっているからしない。素晴らしい。
しょげてしまう後輩3人。
(……)何かを考えているはるか。
またはるかのもやもやが出た。
これ何回続けるねん、ってくらい長い。
はるかがかわいそうになってくる。
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ユイに相談するあきら
やまない雨の中、ドーナツ屋で編み物をしているあきら。
「あきらちゃん なんか元気ないね。」
正面で同じく編んでいる西田ユイが「何かあったの?」と聞く。
前に約束したとおり、出勤前に二人で編んでるのかな。
「…こないだ学校の後輩たちがガーデンに来て…」
「あたしのいない時?」
「うん」
「バイト先のことはナイショにしてたから、なんていうか…その…」
「それはちょっとイヤだね!!」語気強く言うユイ。
「あたしもバイト先のことあんまり人に言ってないの!」
うちの学校実はバイト禁止だし、と続けるユイ。
禁止なのかよ!(笑)
まぁバレてもそう厳しい罰にはならないんだろうけど。
「吉澤くんのことも知られたくないし~」
ホッとするあきら。
「そーいうの、ユイちゃんにもあるんだ。」
「あるよー! 吉澤くんのことがなくても別にしたいよ!」
「あ”」
まさかバイトやめたりしないよね、と問うユイ。
一瞬驚いた顔になるもすぐに微笑して首を振るあきら。
「やめない! あたしこのバイト好きだもん。」
「ユイちゃんと働くのもすごく楽しいし。」
笑顔になるふたりの間にほんわかした空気が流れる。
今回のマイナスイオン発生機はこれか。
この二人かわいすぎる。
席を立つユイ。
「うん」
ユイが離席した途端に店内のざわつきが大きくなる。
(……)
あきらはさきほどの笑顔とはうって変わって伏し目がちになった。
なんかイマイチ浮かない様子のあきら。
まるで何かの終わりを感じ取っているような……。
はるか、ガーデンに行く
場面転換。
ガーデン。雨は以前降っている。
フロアに出ているあきらとユイ。
あと少しで完成だね、と笑いあう。
ピロリロと入店チャイムが鳴り、あきらが接客に向かう。
「何名様ですか?」
目を見張るあきら。
そこには一人で入店してきたはるか。
後輩3人が行ったからついに振り切れたか?
過去に「来ないで!」と強く言われたにも関わらず行くということは強い意思あってのことだろう。
驚くあきら。
「あたし一人。空いてる席どこでもいい?」
「え、あ、うん…」
「すぐ帰るから。」
適当な席に座るはるか。
「ドリンクバーひとつ。」
はるかを見るあきら。
「すぐ帰るからそれだけでいい。」
「…じゃあ、追加注文あったら読んで。」
「まって。」
はるかがキッチン前に戻ろうとしたあきらを制止する。
「一年がこないだここに来たらしいけど、もう来ないように言っておいたから。」
「ありがとう…」表情をあまり変えずに礼を言うあきら。
「……」
「ねえ あきら…」
「戻っておいでよ。」
「え…」
「陸上部に戻っておいでよ!」今度はもう少し勢い良く言うはるか。
ついに言ったか。
ほんともう、ようやく、溜め込んだ思いを言ったなぁという感じ。
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離れたキッチン入り口のユイに挨拶する近藤。
おつかれさまでーすというユイの横を通ってフロアに出ようとするとあきらとはるかに目が行く。
(あの子はたしか…)
「このままだとあきらと陸上が…」
「あたしたちともどんどん離れていっちゃう…!」
「そんなの悲しすぎるよ!!」
その様子を遠くから見ている近藤。
はるかは本当にここまで良く我慢したわ。
本当はもっと早く言いたかっただろうに。
これまで散々もやもやしてたもん。
「あたしたちはいつでも、あきらのこと待ってるから。」
はるかが、意思のこもった目であきらを見据えながら言う。
立ち尽くすあきら、そして近藤の前を小走りに去っていくはるか。
近藤があきらに視線を戻すと、あきらはまだその場に立ち尽くしていた。
傘を開くはるか。
雨はまだやむ気配すら見せずに降り続いていた……。
いやーついに言ったね。
これで、元々陸上を完全には諦めきれていなかったあきらはどういう選択をするのか。
バイトと部活の両立はタイムテーブル的にまずあり得ない。
もしやるとしたら土日で調整することになるが、そんなことが可能だろうか。
そして選択をするのはあきらだけではない。
このやりとりを見ていた近藤はあきらに陸上へ戻れと言うのか?
以前、やりたいことがあったらそっちを優先せよと言った。
果たしてあきらのことが好きだとはっきり自覚した今、近藤の出す答えはどうなるのか?
以上、恋は雨上がりのように57話のネタバレ感想と考察でした。
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