第42話
ユイから質問を受け、それに答える吉澤。ユイが聞いていたのは吉澤のために編むマフラーを吉澤好みの色で作るためだった。あきらにマフラーを編むことを告白し、あきらはユイに感化される。一緒にクリスマスまでにマフラーを編むことにした二人はバイト前に手芸店に行くことに……。
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クリスマスまでに
吉澤の「心がときめくもの」を笑顔で聞くユイ。
胸がときめくもの? とオウム返しする吉澤に好きな食べ物とか花とか、と答えるユイ。
ウーンと考えて、カレー、ひまわり、みかん、柴犬、あとベル〇ルクと答える吉澤。
大塚が調理しながら、なんかバカっぺぇ~、ベル〇ルクはいいけど、と笑う。
ありがと―――、と笑顔のままスライドして吉澤から離れていくユイ。
事務所へ通じる廊下で壁にもたれてしゃがみこんでメモをとり、笑顔になる。
あきらが借りた傘を持って出勤する。
「おつかれ」
PCデスクから振り返って挨拶する近藤。
「店長、こないだの傘ありがとうございました。」
あきらが傘を差し出す。
「ああ、そんな…返さなくてもよかったのに。」
イスの背もたれに肘をかけたまま傘を眺めている近藤。
「持ち主はとっくにわからなくなっちゃってるし。」
「…でも、また誰かが傘を必要としている時、ないと悲しいだろうから。」
あきらの言葉に、近藤は傘を見つめたまま、口元にわずかに笑みを浮かべる。
「わかった。」
あきらはやさしいね。やはり辛い経験をした人間は他人に優しくなれるのだろうか。
あきらが声のした方を向くとそこにはキャロキョロと周囲を伺うユイがいる。
「ユイちゃんおつかれ。」
「?」
ユイがあきらの耳元に近づく。
「マフラー?」
「そう! クリスマスに向けて、今から編むの!」
指を折り折り、今が10月だから2か月半と計算するユイ。
「あたし不器用だから、今から編んでちょうどいいと思うんだよね。」
「…それって、あげるんだよね? その…好きな人に…?」
頬を染めてあきらがユイに問いかける。
一瞬の間のあと、笑顔になるユイ
「うん! そーだよ!」
「……たしも…」
あきらは、ぼそ、とつぶやくように言ったあと。
「あたしも編みたい!!」
左手を胸に当てて、顔を赤らめて力強く宣言するあきら。
「編も――――ッ」
笑顔のユイがあきらに抱き着かんばかりに両手を伸ばす。
「ていうか、そのつもりであきらちゃんに話したんだよ――――ッ」
この話は吉澤にバレるからここでは禁止、と口元で指をクロスして×をつくるユイ。
あきらはうん、と表情を輝かせて頷く。
「……」
暫く見つめ合う二人。
フフッ、と同じタイミングで笑いあう。
明日、バイト前に手芸屋さんにいこう、というユイに、うん、と答えるあきら。
その表情には柔らかい笑みが浮かんでいる。
フロアに戻る二人。あきらは右足を踏み出した。
かわいいやりとりだよなぁ。
あきらもユイもかわいい。
あきらは、近藤の為に何かプレゼント出来るものを作れることにワクワクしているように見える。
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ロイヤルブルー
壁いっぱいに並ぶグラデーション豊かな毛糸。
いっぱいあるね、と圧倒されているユイ。同じくあきら。
何色にしよう、とあきらが毛糸を見ている。
ユイがこんなこもあろうかと事前に吉澤の好みをリサーチしておいた、とあきらに向けてVサインをつくる。
ユイは、吉澤のときめくもの、カレー、ひまわり、みかん、柴犬、とメモを読み上げて、すなわち、と黄色を選択する。
もう決まったの? スゴイ、と感心しているあきら。
あきらに、好きな人の好みは? と問うユイ。
え――――と…と考えたあと、本…? と自信なさそうなあきら。
本? それじゃあ好きな色はわかんないよー、と表情を曇らせるユイ。
私服はどんな感じ? と問うユイ。
私服…と考え、思い出すのは植物園で見た近藤のセーター。
よくわからない、と答えるあきら。
近藤の好きなものの情報を思いのほか知らないあきら。
ゆっくり進展していってるから仕方ないとはいえ、ちょっと悲しい。
お互いの好きなものの話とかゆっくりできる日はいつ来るのか。
「プレゼント選びのコツ! 自分の好きなものをあげる!!」
笑顔のユイ。
あきらはそのユイの言葉に後押しされるように、毛糸を見つめる。
すっ、と毛糸に手を伸ばす。
あっ! いいね! と笑顔のユイ。
「ロイヤルブルー。」
「晴れた夏の空の色みたい。」
あきらは、ロイヤルブルーが思いのほか気に入ったように見える。
まさにあきらのイメージカラーだよね。
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好きな理由
バイトまで時間がある、とユイとあきらはドーナツ屋に入る。
あみものの教本を読みながら、うまく編めるといいな~~、がんばろうね、とユイ。
うん、と答えるあきら。
「…ていうか吉澤くん、もらってくれるかなァ…」
心配顔のユイ。
「あたし、彼女でもないのに…」
大丈夫だよ、よろこぶと思う、と即答するあきら。
「それに…彼女じゃないのはあたしも同じだし。」
「あきらちゃんは、どうしてその人のこと好きになったの?」
ユイに問われて赤くなるあきら。
少しの間のあと、目を伏せる。
「落ち込んでる時…元気づけてくれたの…」
「それがきっかけ。」
あみものの教本で顔を半分隠しながら聞いているユイ。顔が赤くなっている。
「じゃあじゃあ、たとえばさっっ!」
「元気づけてくれたのが別の人だったら、その人のことを好きになってた?」
ユイの質問にしばらく考えたあと、わからない、と言うあきら。
「けど…好きなったのがこの人でよかったって…思ってるよ。」
幸せそうな表情のあきら。
いいなぁ。こんなこと言われてみたいぜ。
……っていうか、こんな顔をさせないとダメだよね。男が。
「疲れ様でーす!」と笑顔のユイ。
「おつかれ」いつもの席から振り返って、笑顔の近藤が挨拶を返す。
そんな近藤を見て頬をわずかに染めるあきら。
(あの日、傘を差し出してくれたのが…あなたで よかった。)
あきらが幸せそうで嬉しい。
もし近藤との出会いがなければ陸上から逃げているあきらは一体どこに居場所があったのだろうか。
そういう意味ではよかったと思う。
以上、恋は雨上がりのように42話のネタバレ感想と考察でした。
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