恋は雨上がりのように21話のネタバレ感想と考察。羅生門を通じてつながるあきらと近藤。

恋は雨上がりのように21話 あきら
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第21話
恋は雨上がりのように20話 あきらとはるか

現国の補習で羅生門に関するひとつの設問にどう答えるか悩むあきら。事務所でプリントを前にして悩んでいると近藤が興味を示して近藤による講義が始まるのだった。

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恋は雨上がりのように20話のネタバレ感想と考察。あきらとはるかの微妙な距離感。
第20話はるかはあきらとの距離が離れてしまったことに思い悩み、しかしあきらとの距離を縮める術を見つけられないでいた。一方、好きな人と仲良くなれる力があるという...

羅生門

ある日の暮方のことである。
一人の下人が羅生門の下で雨やみを待っていた。
広い門の下には、この男のほかに誰もいない。
(中略)
下人は七段ある石段のいちばん上の段に、
(中略)
右の頬にできた、大きな面皰を気にしながら、ぼんやり、雨のふるのを眺めていた。

重い雨の降る校舎。チャイムが鳴る。

「今日で補習は終わり。ごくろうさん。」

「ん?」

プリントを集めていた楠先生がまだ提出せず机についているあきらに気づく。

あきらのそばまで来てまだ終わらんのか、と楠先生はあきらの回答を覗く。

最後の問題だけが出来ていない。評価に影響しないから安心しろ、と言っても回答できないあきら。

「補習の宿題なんて、シャレにならんぞ。」

あきらは適当な答えじゃ気が済まないだな、と読み取れる。

どっちかというと白黒がはっきりしている理数系かな。

近藤による羅生門の講義

場面転換。ガーデン。

右頬にニキビが出来ているのを気にしているあきら。
恋は雨上がりのように21話 あきらと楠

あきらにニキビに効くぬりぐすりを渡すユイ。

「ありがとう。」あきらは笑顔で受けとる。

久保に、店が空いてるから順番に休憩に入るように言われるあきらとユイ。

先に事務所で休憩をとるのはあきら。現国の補習プリントをテーブルに広げている。
やはり回答できず、一息ついて鏡を見ながらユイのぬりぐすりを右頬のニキビに塗る。

ガチャ、と近藤が扉を開ける。

あきらは近藤に頬のニキビを見られたくなくてとっさに隠す。

乙女だね。


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近藤は、そんなあきらの様子に一切構わず、テーブルに広げられたプリントを見て夏休みの宿題? とのんきに問う。
「早くに片付けるタイプ? えらいな――」勇斗も見習ってほしいよ~、と言いながらあきらの背後を通る。

着席する近藤に、補習ですとぼそっと告げるあきら。

近藤は、エッ、とオーバーなりリアクションをしてハハハハ、と笑う。

恥ずかしそうなあきらにあやまる近藤。

「何の補習?」近藤は椅子を鳴らしながらあきらに問う。

「『羅生門』」

「羅生門って芥川の!!??」近藤が振り向き、大きな声でリアクションする。
恋は雨上がりのように21話 あきらと近藤

あきらのニキビにもっと反応してあげてほしかった。

いや、下手に触れない方がいいのか?

でも男はこういうタイプの方が多いと思う。

あきらは近藤の勢いに若干気圧された様子で、はい…と答える。

近藤は、そんなあきらの態度を受けて恥ずかしそうにごめん、と謝る。

ちょうど最近読み直していたから驚いた、と立ち上がる近藤。
窓を開けて、雨の音が事務所に響いていく。

「一人の下人が羅生門の下で雨やみを待っていた」

近藤は、外を見たまま羅生門の序文を諳んじる。

その背中を見ているあきら。

「どこがわからないの?」

近藤は、にこやかな表情であきらの方を振り向く。

「あ…」戸惑い気味のあきら。
「わからないっていうか…その…」そこまで言って目を伏せる。

「問題の内容は?」

近藤は、あきらの正面の席に座る。

どれどれ、とあきらの睨んでいたプリントを手に取る。

(16)あなたは下人のとった行動をどう思いますか? 自由に書きなさい。

設問に対し、これは悪問だと評する近藤。

あきらは、悪問? と近藤に問い返す。

国語は算数と違って答えが無いと言われるが、それは問題が悪い。

正しい問題は論理的にひとつの答えを出せるように作られている。

個人によって違う答えが出る問題は良い問題とは言えない。

解説している近藤に、あきらが、その設問はどういう答えでも評価には響かないことを付け加える。

「それなら話は別だ!」近藤の表情が一変する。

登場人物の心理を自由に想像しながら小説を読むのは楽しい。
精神状態によって感じ方も違う。

とにこやかに解説を続ける。

教科書を手に取る近藤。

死人の山から髪の毛を抜き集める老婆に起こる下人。

しかし老婆は髪をカツラにして売る、つまり生きるためにやっていると説明する。

下人の心に、盗人になる勇気が生まれる。

「それまで悪だと思っていたことが生きるためには善となったのかな?」
恋は雨上がりのように21話 近藤

まるで国語の教師のような近藤の解説。

あきらも素直に聞き入っている。


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下人の勇気と近藤

近藤に問われたあきらは店長はどう思いますか? と問い返す。

近藤は、え? と目を丸くする。

「店長は下人だったら、同じように盗人になりますか?」

「俺は、たぶん盗人にはならない……」近藤は、教科書を見ながら答える。
「なれない、かな。」

「この年になると、小さく生きていく癖がついちゃってるし、波風は立てたくない。」
恋は雨上がりのように21話 近藤

片手を頭に当ててハハハと笑う近藤。
「それにこんな生きるか死ぬかみたいな究極の二択は人生にそうない…」

近藤の話を真剣に聞くあきらの真っ直ぐな視線。
恋は雨上がりのように21話 あきら

好きな近藤の言葉を一言も聞き漏らすまいと心がけているかのような真剣な表情がかわいい。

「ハハッ…」

あきらの視線から目を逸らすように手元の教科書をパラパラ適当にめくる近藤。

「お、俺の言うことなんて気にしないで!」

近藤の似顔絵とあきらとの相合傘のラクガキのページを開いてしまい、近藤は教科書を放り投げる。
恋は雨上がりのように21話 あきらと近藤

その近藤の反応を何事か、という表情で見ていたあきらもすぐにラクガキのことを思い出し教科書を手で隠す。

近藤は椅子から体をずらして俯く。

「……」

二人の間に気まずい沈黙の時間が流れる。

いいなぁこの空気。

とにかく近藤が羨ましい

あきらも思わぬ形で近藤とたくさん話せて良かったなぁ。


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「下人のニキビは若さの象徴。」

「俺はもう、ニキビすらできないただのオッサンだからさ。」
恋は雨上がりのように21話 近藤
あきらの顔を見ず、下を見たままの近藤。

(今さら考えを180度変えられるほどの勇気もエネルギーも持っていない。)

「店長――――」

「ハイッ!!」

近藤は事務所の外から呼ばれた声に過敏に反応して直立する。

「今行きまーす!」事務所から出て行く。

「あ」と近藤に何か言いたげなあきらを残して事務所の扉が閉まる。

プリントに向き直るあきら。

解答用紙に書く答えが見つかったらしい。

場面転換。学校。

楠先生は笑顔で「ごくろうさん」とあきらに声をかける。

「ハハハ。なかなか面白い答えだな。」

あきらは前髪をフッと吹き上げる。
恋は雨上がりのように21話 あきら

場面転換。ガーデン。

「ニキビ治ったねー」笑顔であきらに話しかけるユイ。
「あれ効くでしょ!」

「うん。」笑顔のあきら。
「ありがとー。」

ユイから離れたあきらは視界に入った近藤の左頬にニキビが出来ているのを見つける。

しきりに吹き出物を気にしている近藤。
恋は雨上がりのように21話 近藤
あきらの現国の補習の解答用紙。

(16)あなたは下人のとった行動をどう思いますか? 自由に書きなさい。

下人の勇気が、今後彼の人生にプラスに働ければいいなぁと思います。
恋は雨上がりのように21話 あきらの解答用紙

下人=近藤のつもりで書いたのかな?

もうニキビすらできないオッサンと自嘲していた近藤にも言葉に反してニキビが出来た。

180度考えを変える勇気もないという自らが発した言葉を体が拒否しているのか。

以上、恋は雨上がりのように21話のネタバレ感想と考察でした。

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