第6話
ケガでバイトにもいけず暇なあきらはコンビニにでも行こうと外出する。そのあきらの行く先には、道に迷っている様子の近藤がいた。
二人は近場のファミレスに行き、あきらは会話の流れも無視して思わず近藤に告白してしまうのだった。
5話のおさらい
松葉杖をついて登校するあきら
吉澤があきらに挨拶し、足を心配しながら会話しようとする。
「あきらあ」遠くから聞こえてくる大きな声。
「足どーしたあぁあッ!?」
吉澤を突き飛ばしてあきらに問うはるか。
「おはよう。はるか。軽いケガだよ。」
微笑とともに返事するあきら。
「軽い!?」心配そうな表情を崩さないはるか。
「松葉杖ついてるのに!?」
「これはまあ、念のため?」松葉杖を使って校舎に向けて歩くあきら。
「本当!?」
「本当。」だからそんなに騒がないでよ、とあきらがはるかに言う。
ごめん…と少ししょげた様子で返事するはるか。
「石井、大会出るんだってね。」話題を変えるあきら。
「うん! そう! あいつがんばってたからさ――!」はるかは明るく答える。
「タイムかなり縮んだんだよ――っ!」
「今後、部活見に行こうかな。」
笑顔のあきらを見てうん、と頷くはるか。
「きっと皆よろこぶ。」
あんたバイトどーなの? ちゃんとスマイルできてんのー? とあきらをからかうはるか。
るさいなァ、と返事するあきら。
笑いあう二人。
はるかがどれだけあきらの事を心配しているかが良く分かる。
吉澤はもうこういう役回りなんだよ(笑)。
あきらの元にいつもの友達3人組が近づき、口々に心配したり、お昼のパンを代わりに買って来るなどあきらに甲斐甲斐しくする。
友達3人組は吉澤に自分たちにプラスしてあきらの4人分のパンを買って来るように要求する。
ひどい(笑)。でもちょっとうらやましくもあるかも。
カーテンが大きくそよぐほどの風が教室に吹き込む。
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暇で外出すると思わぬ出会いが
場面転換。橘家のマンション。
自室のベッドの上に仰向けに寝転がり、雑誌を読んでいるあきら。
雑誌を自分の顔の上にかぶせる。
そのままじっとしていると枕元のスマホが鳴る。
——
バイト中~
あきらちゃんがいないと
つまんないよ~
——
泣いている女の子の顔画像。
ユイからのLineだった。
——
私もつまんないよー
——
泣きながら力こぶを作っている変なキャラクターの画像を返すあきら。
——
なにそのキモイスタンプ
——
あー休憩終わりだー
またねー
——
辛辣な返信でやり取り終了。
「……」釈然としない様子でスマホを見つめるあきら。
あきらの謎センスが炸裂している。
――『何かあったら連絡してね。』
「にしてもヒマ…コンビニでも行こうかな。」松葉杖をついて、あきらはマンションの外を歩く。
あきらの歩いている道の先でメモを見ながらキョロキョロしている近藤の姿があきらの視界に入る。
えーと、と必死にメモを見ている近藤はあきらに気づかない。
その様子を暫く見ているとあきらに気づく近藤。
「ん。」
「あ! 橘さーん!!」片手を上げてあきらに呼びかける近藤。
「よかった~! 今電話しようと思ってたとこ!」近藤はあきらに駆け寄る。
便利な街に住んでるね、ランドマークタワーが見えると続ける近藤。
「店長…どうして…?」と驚いた様子のあきら。
大事な娘さんをケガさせたからお詫びの挨拶に、と水ようかんの紙袋を掲げる近藤。
「…母は仕事で留守ですが。」冷静なあきら。
「えっ」驚く近藤。
実に近藤らしいミス(笑)。
仕事でもプライベートでもうっかりミスが多いんだろうなぁと思う。
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天然の近藤とそこにウケるあきら
パフェとドリンクバーを注文する近藤。
行く前に確認すればよかった、また改めて来ると言う近藤。
「えっ! そんな! いいですよ!」と慌てるあきら。
「走ったのはあたしが勝手にしたことだし…」むしろシフトなどで迷惑かけたとあきら。
シフトは他店からのヘルプ呼んだからOK、と近藤はどうしてもとお母さんに一言謝罪したいと望む。
本当に本当に大丈夫です!! と語気強く断るあきら。
あ…そ、そう? と力なく笑う近藤。
(来られて迷惑だったのかな…)
(店長悪くないし…)
気持ちが面白いくらいすれ違ってて笑う。
あきらは軽いケガだから大丈夫と答える。
本当に? とあきらの足を見るために近藤がテーブルの下を覗き込む。
包帯をした右足の爪に塗られたピンクのペディキュア。
「……」
暫くの間、二人の間に沈黙が生じる。
急にテーブルの下からあきらに向き直る近藤。
「この爪が赤いのってケガのせい!?」
あきらは近藤の言葉にきょとんとする。
「いえ…ただのペディキュアです。」
ペディキュアって? と問う近藤にあきらは足に塗るネイルがペディキュアだと説明する。
てっきり俺のケガのせいかと思った、と笑う近藤。
「血豆とかなると爪赤くなるじゃない?」
ちまめ…と小さく呟いて、プッと吹きだすあきら。
「あははははっ! 血豆とかひどすぎます!」
「ていうか赤じゃなくてピンクだしっ!」
おかしいー、とあきらは本当に楽しそうに笑う。
その様子をじっと見ている近藤。
あの、何か? と、その視線に気づいて笑うのをやめるあきら。
いつもと違ってやわらかい印象だ、と素直にあきらに伝える近藤。
続けて、リラックスしていてよい、胸もラフだし、と言い、近藤はドリンクを取りに席を立つ。
(ラフ…もっとちゃんとしたカッコしとけばよかった…)
頬を染めて髪を触るあきら。
ひたすらあきらのかわいさが増していく。
そして近藤はどこまでも天然。
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衝動的なあきらの告白
近藤があきらをじーっと見ている。そのように気づいて、あきらは、なんですか? と問う。
既視感を覚えたことを告白する近藤。
「前にも見たことあるような光景っていうか。」と言って席につく。
「え!?」驚くあきら。
「前にもって、それって…」
「いや――しかし本当、にぎやかな所に住んでるねー。」
コーヒーを啜りながら言う近藤。
「わざわざウチのほうでバイトしなくても、ここならなんでもあるじゃない。」
「……」
近藤の言葉に少しの沈黙のあと、あきらは「ここには何もないです。」と答える。
えーっと驚いて「ここで何もないならどこに何があるっているの!?」と問う近藤。
「あたし、店長のこと好きです。」
外の景色をみながらコーヒーを飲む近藤に対し、まっすぐ正面を向いてあきらが告白する。
外からあきらに視線を移す近藤。
(言っ…)
(ちゃっ…)
(た…)
自分で自分に驚いた様子のあきら。
こんな流れで告白なんてアリ?
告白しよう、と思ってたわけじゃなく、溢れ出てきたような描写がいいね。
本当に好きでたまらないということを感じさせる。
「ありがと――!!」
へらっと笑って片手を後頭部に回す近藤。
てめぇふざけんな(笑)。
だが、自分の娘ほどの歳の差の相手からまさか告白されるとは思ってないだろうから、実はリアルな反応でもあると思う。
女子高生がおっさん惚れるわけない、という常識を持ったきちんとした大人であることを感じさせる。
てっきり嫌われているのかと思ったと笑う近藤。
「なんだ~~ヨカッタ~~」コーヒーがこぼれんばかりに腕を振り回す。
「ホラホラ食って食って!」とあきらに勧める近藤。
え? あ、ハイ…と釈然としない様子でパフェを食べるあきら。
上機嫌で追加のオーダーを頼む近藤。
近藤の笑い声が夏の日中の空に響く。
告白がスカされたような、糠に釘を打っているような、のれんに腕押しのような、そんなスッキリしない心境なんだろうな。
最後の困惑しているあきらの顔が笑える。
以上、恋は雨上がりのように6話のネタバレ感想と考察でした。
恋は雨上がりのように7話のネタバレ感想と考察の詳細は以下をクリック。
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