恋は雨上がりのように1話のネタバレ感想と考察。主人公あきらの秘めた想い。

恋は雨上がりのように1話 橘あきら
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第1話
恋は雨上がりのように1話 橘あきら

教室で目覚める

本日の降水確率は10%。

雨の心配はありません。

夜まで晴れ間が広がるでしょう。

おそらく朝のニュース。

晴れた日。学校の教室の窓際の席に突っ伏したロングヘアーの女の子橘あきら。
恋は雨上がりのように1話 橘あきら
ゆっくりと目を開き起き上がると教室には誰もいない。
恋は雨上がりのように1話 橘あきら
(……)あきらは暫く茫然として、スカートのポケットからスマホを取り出して操作する。「橘。」

傍らから女の子に向けてかけられる声。しかし女の子は全く反応せずスマホを操作する。

「た、橘ッ!」

「おはよう!」

そこには上気した笑顔で片手を上げて挨拶する男の子吉澤タカシが立っている。
恋は雨上がりのように1話 吉澤タカシ
「もう放課後だけど…」橘と呼ばれた女の子は視線を男の子から逸らして答える。

吉澤は良く寝てたからさ、と片手を頭に回して笑う。

ところでさ――、と強引に話題を持って行く。

「橘ってさ――、ラインとか、。する?」

「もししてたら」

「しない。」
恋は雨上がりのように1話 橘あきらと吉澤タカシ
即座につれない反応を返す橘。

「あ、」

「マジ、」

「か。」

貼り付けたような笑顔で次の言葉に詰まり、アハハ、と力なく笑ってごまかす吉澤。

あきらは吉澤の方を見ようともしない。

「やーでもさ――」めげずに吉澤が言葉を続ける。

「ラインってけっこー便利なアプリでさー。」

やってないならこれを機にラインデビューしたらどうかなっ、とスマホを女の子に向けてかざす吉澤。

「ちなみに俺のIDは…」

「アレ?」

そこに既にあきらの姿は無かった。

完全に興味がない様子のあきら。

吉澤に対してあきらは完全に脈無し。

「はっ」

「はっ」

「はっ」

あきらが息を切らせて、坂道を下に向けて駆けていく。

目指すバス停にはバスが来ている。

バスに向けて走ろうとするも足首に痛みが走り、顔が歪む。
恋は雨上がりのように1話 橘あきら
バスは発車し、バス停まであと少しの距離を歩いているあきらの傍らを走り去っていく。

「……はぁ。」

バス停に着き、ベンチに腰掛け、さきほど痛みが走った右足首を揉む。

バスが走り去った方から「ファイオー」と部活動で走っている集団の声が聴こえる。

暫く声のする方を見て、あくびをするあきら。

足首の痛みは今後の話のポイントになる部分。


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行き先はバイト先のファミレス

場面転換。cafeレストランガーデン。

「ストロベリーパフェでお待ちのお客様…」

あきらはファミレスの制服に身を包んで働いている。

無表情で客の元へ行き、パフェをテーブルに置く。

「ごゆっくりどうぞ…」やはり無表情で一礼し、その場を離れようとするあきら。

背後の客は「クールな子だね」「ね」とやりとりしている。

「だからさぁ~」

少し離れた席に座った男性客の声。

「俺もファミレスに本格的な味とか求めてねーからさー、」

その客の前で深々と頭を下げる男性店員。

「申し訳ございません。」
恋は雨上がりのように1話 近藤正己店長
構わずクレームを続ける客。

「こーいうもんなのかなと思って食ってたワケよ。」

「ハイ。ハイ。」

困り顔の男性店員に向けて指を差す男性客。

「すぐに新しいものをお持ちいたします。」

「いや、もう半分食っちまったし食えねーわ。」

キッチンでその男性店員が謝る姿を凝視するあきら。

「情けないわねェ~」

「はい?」

傍らの、あきらと同じ制服を着たおばさん、久保の一言に反応する。

「店長。」

「ヘコヘコヘコヘコ。若い客に頭下げてさァ。」

遠くでまだ頭を下げている店長。力ない笑顔で謝っている。

あきらはその様子をじっと見つめている。

「でも…」傍らの久保を見るあきら。「下げるしかなくないですか?」

「だから、そーいう人生が情けないのよ!」ぴしゃりと答える久保。
恋は雨上がりのように1話 橘あきらと久保
「あ、こっち来た。」

>そーいう人生が情けないのよ!

辛辣すぎる一言。あまりにもひどすぎるわ……。

食器の乗ったトレイをもってキッチンに歩いてくる店長。

「お~い。石焼ビビンバの石、あっためすぎに注意してくれよ~」

「コレじゃコゲコゲだぞ~頼むよ~」

キッチン内のコックに言う店長。

その姿をそろって見つめるあきらと久保。

「よろしくー」頭をかきながら離れていく店長。

「もっとビシッと注意すりゃいいものを。」ため息まじりに言う久保。

「パッとしないわよねぇ…」

遠くの席で、また男性客に頭を下げている店長。

「……」

その姿をジッと見ているあきら。

ピンポーンとチャイムが鳴る。

「あたし行くわ」久保があきらに声をかける。
「橘さん休憩行っていいわよ。」

「あ、はい。」

店長はペコペコ謝ってばかりだが、従業員に強くあたるわけでもなく、決して横暴な人間ではないことが分かる。

あきらの好きな人

場面転換。休憩室。

あー、とあきらがサンドイッチにかぶりつこうとする。

「そんなんで足りるの?」

あきらがサンドイッチを口に入れてから唐突に問いかけてくる声。

そこには店長がいた。
恋は雨上がりのように1話 橘あきらと近藤正己
「お疲れさん。」

「!!」

あきらはサンドイッチに食いついたまま驚く。

「お疲れ様です…」サンドイッチを飲み込んでから返事する。

「ダメだよちゃんと食わないと。」

パソコンのあるデスクに腰かけなら言う店長。

「若いんだからさ。」

そんな店長の後姿をサンドイッチを持ったまま見つめるあきら。

カタカタとパソコンのキーボードを鳴らしはじめる店長。

ぶえくしょい! とくしゃみをし、ティッシュで思いっきり大きな音をたてて鼻をかむ。
恋は雨上がりのように1話 近藤正己
橘はそんな店長をずっと凝視し続ける。

店長が頭をかいている付近の後頭部には円形脱毛がある。
恋は雨上がりのように1話 近藤正己の円形脱毛症
「ん?」

カタカタとキーボードを打っている店長はジッと見ているあきらの視線に気づく。

「!」サンドイッチをさきほどの姿勢で持ったまま驚くあきら。

近藤の行動がまさにおっさんそのもの。あきらは凝視し過ぎ(笑)。

「何?」座ったまま、顔は橘の方に向けて笑顔で聞く店長。

「あ……」あきらは焦りながらポケットからメモを出し、コレ、と店長に手渡す。

「来月のシフト希望です。」

お礼を言う店長。メモの内容を見ながらよく働くね、と一言いう。

「何か欲しいものでもあんの?」

問いかける店長。こっちとしてはありがたいんだけど、などと笑っている。

(店長…)
恋は雨上がりのように1話 橘あきら
そんな店長の横顔を近くで凝視しているあきら。

(すき…)

「そんなに睨まないでくれよ。」
恋は雨上がりのように1話 橘あきら
「えっ」驚いでのけ反るあきら。

ハハ…と力なく笑いながら頭をかいている店長。

第1話一番のヤマ場。

衝撃的だし、予想外で面白い。

「……」恥ずかしそうに、若干怒ったような表情のあきら。
「別に、睨んでませんけど…」
恋は雨上がりのように1話 橘あきら
店長はそんなあきらに戸惑い気味にそう? と答え、メモの礼を言う。一瞬停止する時間。微妙な間。「戻ります。」深く店長に一礼してあきらは休憩所を出る。

ドアの前に立ち、顔を赤らめている。

(いっぱい喋っちゃった…)
恋は雨上がりのように1話 橘あきら

「一生店長で終わるタイプよ。」久保があきらに向けて言う。

(ライバルもいない♪)

いらっしゃいませー、と水を運びながら挨拶しつつ思うあきら。

かわいい。

場面転換。休憩室。

あきらがいなくなり、店長一人になった休憩室。

「……」

扉を見ていた店長は机に向き直りカタカタとキーボード入力を再開する。

(あの目…)

(まるでゴミでも見るような目だったな…)
恋は雨上がりのように1話 橘あきら
(ま、あの年ごろからしたら俺なんてゴミ同然か。ハハハ…)

近藤店長からはこう見えていた。

人の真意なんてわからないものだなぁと思う。

おつかれーす、と他の店員が休憩室に集まり始める。

「店長。」

学校の制服に着替えたあきらが店長に話しかける。

「ん。」マグカップを傾けながらあきらの方を見る店長。
「何?」

「あの…店長って…」まるで店長を見下しているかのような視線で話しかけるあきら。
「ラインとかしていますか?」

「もし、していたら、その…」

店長は、そんなあきらの言葉よりも視線が気になっている。

(この視線に耐えられるのも年とった証拠かな…)

呆けた表情の店長。

(10代だったら泣いてらぁ。)
恋は雨上がりのように1話 近藤正己

歳食うと面の皮が厚くなる。これは本当。人間的成長でもあると思う。


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「あの…店長?」

はっ、と我に返る店長。

「えっとー、ライン? …ってなんだっけ?」

見下したような表情で固まっているあきら。

(あ…)内心焦る店長。

「なんでもないです…」諦めてあきらはドアの前に歩く。
「お疲れ様でした…」

「お疲れ。」
内心で最近の子はわからんと思う店長。
恋は雨上がりのように1話 橘あきらと近藤正己
外は大雨が降っている。

天気予報が大外れ、傘を持っていないなど言いながら休憩室の入り口に立っている店員たち。

「おー結構降ってんなァー」休憩室の窓を開け、顔を出して言う店長。
「忘れ物のカサ使っていいぞ~」

「あら、用意の良いこと。」

あきらが自前の折り畳み傘を組み立てているのを見ながら店長が言う。

傘を差し、大雨の中を歩いていくあきら。顔だけ店長の方を見てペコッと一礼する。

そんなあきらの後姿を窓枠に組んだ腕でのしかかり、咥えたばこを歯で上下させながら見ている店長。

大雨の中を歩いていくあきらに片手を上げて駆け寄る吉澤。
恋は雨上がりのように1話 橘あきらと吉澤タカシ
笑顔であきらに話しかける男子学生は教室で話しかけていたのと同じ人物だった。

(お、彼氏か?)あきらと吉澤の様子を見つめる店長。

店長は、あきらと話す吉澤の姿に自分の若き日の姿を重ねていた。
恋は雨上がりのように1話 橘あきらと近藤正己
(なんてな。)休憩室の窓を閉める店長。

「すっげ偶然! 橘ってココでバイトしてるんだ!?」

馴れ馴れしく話しかけてくる吉澤の顔も見ずに雨の中をパシャパシャと足早に歩いていくあきら。

「俺のばーちゃんちこの近くでさーってアレェ?」

まぁカップルに見えるよね。

場面転換。マンションの一室。

「ただいまー。」自宅に辿き、リビングに顔を出すあきら。

「おかえり。カサ持ってたのね。」イスに腰掛けて読書をしている母。

「んー」

「お風呂沸いてるわよ。」

「んー」

洗面所で靴下を脱ぐあきら。右足首に大きな傷跡がある。
恋は雨上がりのように1話 橘あきら

かなり大怪我なのがわかる。

陸上部だった

場面転換。放課後のチャイムが鳴る学校。

あきらはベランダで風に吹かれ、外を眺めながらジュースを飲んでいる。
恋は雨上がりのように1話 橘あきら
「橘先輩。」声をかけたのはジャージを着た女の子。

「おーびっくりしたー。」女の子に向き直るあきら。
「どうしたの?」

「私、今度の大会。出場することになったんです。」

あきらは、やったじゃん、と喜びの表情を見せる。

あきら先輩のタイムより遅くて、と何か言いづらそうにしている女の子。
「その…すみません…」頭を下げる。

「謝ることないっつの。」頭を下げている女の子に軽くチョップするあきら。

「これから外周?」

ハイ! と答える女の子。

「今日は雨降らないよ。」

「え?」

「足のキズ、痛くないから。」外の景色に向き直るあきら。
恋は雨上がりのように1話 橘あきら
「あ…」気まずそうな女の子。

ごめん、と謝るあきら。
「全然大丈夫だから。本当に…」

「先輩、たまには部に顔出してくださいね!」ベランダから出て行く後輩の女の子。

後輩に向けてぐっ、と親指を立てる笑顔のあきら。

よく晴れた空を見上げるあきら。

(傷を負っても、)

(雨が降っても、)

(バイト行こ。)

橘あきら予想外の店長への好意。

とても先が気になる1話だと思う。

以上、恋は雨上がりのように1話のネタバレ感想と考察でした。

恋は雨上がりのように2話のネタバレ感想と考察の詳細は以下をクリックしてくださいね。

恋は雨上がりのように2話のネタバレ感想と考察。近藤の家族関係を知るあきら。
第2話1話のおさらい1話の詳細はこちらをクリック。近藤店長の朝物が床に散乱し、ベッドの上で寝ている近藤。目覚まし時計が鳴り響く。寝たまま手だけ伸ばして枕元で鳴っ...

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